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室内照明(シーリングライト)と照度の分布についてのシミュレーション例について説明します。

この記事では、室内の照明についてOpticStudioにて行うことが出来るシミュレーション例をご紹介いたします。

 

◆室内照明を作成する。

室内照明を光源オブジェクトにて作成します。

ここで作成する室内照明の仕様を下記のように設定します。

  ・明るさ :3000  lm

  ・直径  :φ550 mm

  ・配光  :半値60°

 

また、部屋の広さについても下記のように設定します。

  ・広さ  :2.7 m × 3.6m

      ・高さ  :2.2 m

 

光源オブジェクトに、光源(楕円)を使用します。

配光を確認するため、ディテクタ(極)とディテクタ(矩形)を設置します。

部屋の高さは2.2mとする予定ですので、ディテクタ(矩形)は2.2mに設置いたします。

 

 

明るさが3000lm なのでパワーに3000

直径がφ550mmなので、半径の275mmをX半値とY半値に入力

コサイン指数に1を入力することで、光度分布を指定します。

光線追跡をした結果は下記のようになります。

 

・配光分布

入力した通り、コサイン1乗に比例している配光分布となっております。

また、最大光度は962.53カンデラとなります。

 

・照度分布

光源から2.2m離れた位置に置いたディテクタ2.7m × 3.6mのディテクタの照度分布は下図の通りとなり、その中心照度は197ルクスとなります。

先ほどの969.6カンデラから計算をすると

969.9カンデラ / ( 2.2m)^2 = 200 ルーメン/ 平方メートルとなるのでおおよそ計算が合います。

 

照度分布を確認すると、中心のピーク照度とディテクタ端の照度では36%の照度まで下がっています。

 

・スペクトル

今回の照明にはYAG蛍光体を使用した白色LEDのスペクトルを使用いたします。

スペクトラムを確認すると下図のようになっております。

光源のスペクトルは照らされる物体の見掛けの色(演色性)を決めます。

室内照明のシミュレーション結果に大きく影響を及ぼすパラメーターとなります。

さて、光源のデータは作成できたので、「室内」に設置した条件での

「室内照明」のシミュレーションを行います。

 

下記がノンシーケンシャルコンポーネントエディタとなります。
 

部屋のサイズ

・広さ :2.7 m × 3.6m

・高さ :2.2 m

 

矩形オブジェクトにて壁を作成します。

それぞれの壁の前(-1mm)の位置にディテクタを設置しております。

※基準オブジェクトに「―1」を入力することで、1個前のオブジェクトとなります。

※ディテクタの「前面のみ」に「1」を入力することで、前面からの光線のみ受光します。

 

次に、それぞれの壁に対してコーティングを設定します。

コーティングは下記にて追加することが可能です。
 

 


コーティング名:WALL 

可視域の全てで65%の反射率にいたします。

波長による反射率を確認すると可視域の波長で65%の反射率になっていることが分かります。
 

 

コーティング名:BROWN

可視域の中で短波長は反射率を低く、長波長は反射率を高くします。 

それぞれの壁に、作成したコーティングの反射率を反映させます。

散乱も出るには「ランバーシアン」

散乱割合には「1」を入力します。

このように設定することで、設定したコーティングの反射率を持ち、ランバーシアンに拡散させるという特性を持つオブジェクトとなります。

全ての設定を終えると光線追跡を行います。

光線追跡の設定は下記のようにします。

・NSC光線の散乱にチェックを入れます。

・偏光を使用にチェックを入れます。

NSCシェーデットモデルでは下記のようになります。

光線は各壁にて散乱を起こして、床面に当たった時に消えていることが分かります。

これは床面の反射率が壁の反射率よりも低いため、床で吸収されることを表しています。

 

各面の受光面は下記のようになります。

 

◆床面

中心照度は292lxとなりました。

光源を作成したときのピーク照度は197lxとなっております。

光源作成時の結果よりも照度が大きくなった理由は、壁面で反射した光が床面には増加されたと推測できます。

室内照明は、同じ光源を同じ位置に配置しても、部屋内部の照度とその分布は周囲環境によって変わることがあり、とても複雑となります。

 

◆天井

中心部分が暗いのは、光源のケースが設置されているためです。

最大照度が低いですが、床面に対向しているため反射して戻ってくる光が少ないためと推測されます。

◆側面(奥側の広い面)及び側面(狭い面)

この面で注目する部分は、中心よりも上側にピーク照度がある点と、壁上部が壁下部より照度が低い点です。

上部のほうが光源に近いため、ピーク照度が上部に寄ることは想像がつきます。

壁上部が壁下部より照度が低いのは光源の光度分布がコサインΘに比例しているためと考えられます。(壁の上部はΘ=90°となるためです。)

 


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