
2023 R1.03 リリースノート
2023年 5月3日
1 ツール、機能及び利便性
1.1 合成面: スプラインとNURBSをサポート(すべてのエディション)
より複雑な物理面タイプに対して直接的に面イレギュラリティの公差解析
以下の面タイプを[合成面] (Composite surface) の追加する面、ベース面として使用できるようになりました。これにより、新たな面形状をより柔軟に作成でき、公差解析や光学解析のための新たな擾乱を追加するオプションが増えました:
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[キュービックスプライン] (Cubic Spline)
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[拡張キュービックスプライン] (Extended Cubic Spline)
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TrueFreeForm
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[トロイダルNURBS] (Toroidal NURBS)
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[ラジアルNURBS] (Radial NURBS)
キュービックスプラインと拡張キュービックスプラインは、サグがラジアル座標に対して定義される回転対称面であり、新たなラジアル対称な面形状を可能にします。TrueFreeFormはサンプリングされた面を任意の形状に最適化することで、面形状を定義する方程式の制約を取り除きます。ラジアルおよびトロイダルNURBSは2種類の非均一有理Bスプラインで、制御点を使用して曲面を効率的に定義します。
1.2 Creo 9 ダイナミックリンクサポート(Premium と Enterprise エディションのみ)
PTC Creo Parametric 9 で作成された部品とアセンブリを直接編集および最適化
OpticStudio PremiumとEnterpriseを使用すると、PTC Creo Parametricの部品とアセンブリファイルをノンシーケンシャルモードで動的に開くことで、単純で一般的な形状ではモデル化できないオブジェクトをモデル化し、パラメトリックに制御できます。適切なオブジェクトタイプを使用することで、ノンシーケンシャルコンポーネントエディタにネイティブCAD部品を簡単に組み込めます。オブジェクトに定義された明示的な寸法は、ノンシーケンシャルコンポーネントエディタに表示して制御できます。これにより、光学エンジニアはフォーマット変換を行うことなく、メカエンジニアと同じファイルで作業できます。
OpticStudioはPTC Creo Parametric 9とのダイナミックリンクをサポートするようになりました。同様に、レガシーリリースの Creo Parametric 8, 7, 6, 5, 4もサポートします。使用している Creo のバージョンを変更するときは、OpticStudioの[環境設定] (Preference) で使用したいCreoがインストールされたパスを設定します。
1.3 CREO 8 とのダイナミックリンクのサポート (PREMIUM および ENTERPRISE エディションのみ)
PTC Creo Parametric 8 で作成したパーツやアセンブリを動的に修正、最適化
OpticStudio Premium および Enterprise エディションでは、PTC Creo Parametric のパーツおよびアセンブリファイルをノンシーケンシャル モードで動的に開き、簡単で一般的な形状だけでは容易にモデリングできないオブジェクトをモデリングし、パラメトリック制御することができます。ネイティブ CAD パーツを、関連するオブジェクトタイプを使用して、[ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ] (Non-sequential Component Editor)簡単に取り込むことができます。オブジェクトに定義された明示された寸法は、ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ内で表示され、制御することができます。これにより、光学エンジニアはフォーマット変換の必要なく、機械エンジニアが使用するのと同じファイルを使用して作業できるようになります。
OpticStudio は、PTC Creo Parametric 8 のほか、Creo Parametric 7、6、5、および4 のレガシーリリースソフトウェアとのダイナミックリンクに対応しています。使用する Creo のバージョンを変更するには、OpticStudio の [プロジェクト環境設定] (Project Preferences) で、お好みのインストールされた Creo のパスを設定するだけです。

2 パフォーマンスと安定性の向上
- [Speos Lens system へのエクスポート] (Export to Speos Lens System) – Speos 低次元モデル v2.0 の性能と互換性が向上するように安定性が改善されました。アルゴリズムが更新されて、センサが大きいときにセンサ全体でシステムを評価するようになりました。予想よりも大きなセンササイズが入力されても、コードは対応する視野を処理します。コードは大きなセンササイズに対応する像面位置で評価するので、生成された低次元モデルには光学系のビネッティングが反映されます。今回のアップデートでは、以前までNaNを出力していた光学系に対しても数値を計算できるようになっており、Speosへのエクスポート機能が改善されています。もう1つの性能面の改善として、光学系の瞳がより正確なパラメータに低次元化されました。これによりSpeosでの異なる波長での逆光線追跡が改善され、多波長イメージャを使用したときに、Speosはより良い結果を出力します。
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[拡張機能] (Extensions) – Dynamic Data Exchange (DDE) に基づく拡張機能は、ZemaxとMicrosoftの双方で長期にわたって廃止されおり、Zemax OpticStudio 15から新機能とバグ修正の追加を停止しました。Ansys Zemax OpticStudio 2022 R2 のリリースから、DDE 機能と拡張機能が削除されたため、DDE スクリプトはサポートされなくなりました。Ansys Zemax OpticStudio 2023 R1.03 では、残っていた機能の痕跡がUI、データファイル、ヘルプファイルから完全に削除されました。DDEスクリプトを実行するには、ZOS-APIに変換する必要があります。ユーザ定義オペランド UDOP も、UDOC への変換が必要です。スクリプトの変換については、こちらのナレッジベース を参照してください。通常、OpticStudio と連携する独自アプリケーションの作成を希望するユーザには、ZOS-API を強く推奨しています。ZOS-API は利用可能な最新のプログラミング技術に基づいた、よりセキュアで強力なツールです。
3 バグの修正
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[合成面] (Composite Surface) – マルチコンフィグレーションで設定された合成面を最適化するとき、すべてのコンフィグに影響しない問題が修正されました。マルチコンフィグレーションがメリットファンクションで最適化されるように設定されている場合、最適化によって、各コンフィグの合成面の変数が正しく編集されます。
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STAR – ZOS-APIで既存の温度データセットに新しく温度FEAデータを読み込むと、未定義の状態になる問題が修正されました。新しいファイルが読み込まれると、まず以前のデータが読み込まれていない状態となるようになりました。
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STAR – STARによる変形した面での光線追跡において、計算結果に物理的ではない不連続性が現れる問題が修正されました。
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[面サグ] (Surface Sag) – ZOS-APIの面サグと [面サグ断面図] (Surface Sag Cross Section) 解析に、合成面のサグを除去するオプションが追加されました。
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[回折 DLL] (Diffraction DLL): lumerical-sub-wavelength-dynamic-link-2023R1-3.dll – Max Order X と Max Order Y に負の値を使用すると一部のシステムが正しく機能しない問題を修正しました。これら2つのパラメータの詳細は、こちらのナレッジベース を参照してください。
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[回折DLL] (Diffraction DLL): lumerical-sub-wavelength-dynamic-link-2023R1-3.dll – 電場の符号規則が更新され、電場のコヒーレント加算が LumericalのRCWAソルバーとOpticStudioとで一致するようになりました。