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ノンシーケンシャルモードで発光部分の明るさを評価するとき、空間分布と角度分布がシミュレーションにどのように影響するかを簡単な光学系で説明します。

発光部分を人間が見るとき、もしくはカメラで観察するとき、観察対象である発光部分のエネルギーの空間分布と角度分布の両方が観察結果に影響します。”発光部分を見る”状況を単純化した、下図のような光学系を使って、これらの関係性を説明します。

 

<光学系の説明>

① 光源

■の形をした光源と、●の形をした光源を横に並べています。■光源からは光線をまっすぐ出射しており、●光源は傾けて設置することで斜め下方向に光線を出射しています。2つの光源には同じエネルギーを設定します。

② 散乱面(観察対象の発光部分)

①で設定した2つの光源から出射した光線を散乱する面。散乱特性はガウス散乱で、平行光線を軸対称の散乱光線に変換します。測定系はこの散乱面を見ます。

③ 対物レンズ(人間の眼のレンズ、カメラレンズ)

理想レンズを設置しました。②の散乱面を④のディテクタに結像します。

④ ディテクタ(人間の眼の網膜、センサ)

②で散乱された光線のうち、③対物レンズに入射した光線だけがディテクタ上の結像に寄与します。

 

②、③、④にディテクタを設置して、すべて空間分布を評価します。②では発光部分の主に空間分布が、③では主に発光部分の角度分布が、④では空間分布と角度分布の両方が考慮されたシミュレーション結果が得られます。

<ディテクタ結果の理解>

②発光部分近傍のディテクタの結果

散乱面の直後に設置したディテクタの放射照度分布では、■光源と●光源のエネルギーの空間分布が得られます。ここでは、●光源に与えた傾きによる入射角度は影響しません。これは、放射照度分布(W/m2)には角度情報が含まれないためです。

③対物レンズ近傍のディテクタの結果

対物レンズには、②の散乱面で散乱された光線が広がって到達します。

ここでは、■や●といった発光部分でのエネルギーの空間分布はあまり見られず、●光源の傾きや散乱面のガウス散乱の特性、つまりは角度分布の特性が得られます。つまり、発光部分から離れるほどに、エネルギー分布は空間分布から角度分布に置き換わっていきます。

④発光部分と共役位置のディテクタの結果

対物レンズは発光部分をディテクタ上に結像します。そのため、発光部分を反転させた像が得られます。ここで、ディテクタ②の結果と比較すると、●光源のエネルギー密度が低下しています。

この理由は、レイアウト図から明らかなように、●光源から出射した光線の角度によって、対物レンズに光線の一部が入射していないためです。

このように、対物レンズで発光部分を結像したときに、発光部分の空間分布と角度分布の両方が考慮された、放射輝度(W/(sr*m2)に最も関係した結果が得られます。

観察者(人間やカメラ)に明るく見せるためには、観察対象に多くのエネルギーを導いて空間分布を高めることに加えて、観察者方向に多くの光線が向かうように角度分布を制御する必要があります。


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