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回折光学エレメントのサグを求めるマクロについて

  • 19 September 2023
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回折光学エレメントのサグを求めるマクロについて

出力されるゾーン番号、ゾーン半径、内側半径サグ、外側半径サグ、ステップ高さ、プロファイル周波数 (波数/mm) のうち、プロファイル周波数 (Waves/mm) はどういう計算によるものですか?また、内側半径サグ、外側半径サグの単位は何?

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Best answer by Takashi Matsumoto 21 September 2023, 16:31

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ご質問有難うございました。

回答させていただきます。

 

バイナリ2面は、以下の様に物理的な非球面形状の上に、レリーフ型回折レンズ形状の微小な回折パターンを作成して、屈折+回折で光の方向を変更するような面を再現します。

 

この際バイナリ2面は屈折力を与える非球面のサグ量と回折力を与えるレリーフ型回折レンズ形状のサグ量を足し合わせます。

 

https://support.zemax.com/hc/ja/articles/1500005487741

 

この際、非球面形状は面全体に設定されますが、レリーフ型回折レンズ形状は以下のような段差形状となります。

 

内側半径サグと外側半径サグは、このゾーン境目の点で合計サグ量を表します。

そのため、屈折面を表す面を平面とすると、以下の様に内側半径サグは0となり、外側半径サグはステップ高さとなります。

 

プロファイル周波数 (Waves/mm) はレリーフ型回折レンズ形状が持つ段差が1㎜あたり何本あるかを示します。これが高いほど、作成難易度が高くなります。

計算式としましては、「ゾーン半径/(2*ゾーン数)」の逆数として算出されています。

 

以上になります。

 

追加で質問です。プロファイル周波数 (Waves/mm) の計算が「ゾーン半径/(2*ゾーン数)」の逆数とありますが、回答で示していただいたリストでは、この計算で良く合致しますが、日本語ヘルプの「バイナリ 2 面を使用した回折光学系の設計方法」の添付されているファイルのHow to use Binary2.zmxではゾーン半径/(2*ゾーン数)を計算すると結構誤差があります。その理由は分かりますか?

 

Surface number:  2

Binary r^ 2 coefficient:  -1.0825E-03
Binary r^ 4 coefficient:   1.9487E-06

Zone number     Zone radius    Inner rad. sag  outer rad. sag    Step height      Waves/mm 
  1.000000        0.737085               0         -0.001137        0.001137        2.710735
  2.000000        1.042907       -0.000000       -0.001137        0.001137        3.827908
  3.000000        1.277924       -0.000000       -0.001137        0.001137        4.681271
  4.000000        1.476348       -0.000000       -0.001137        0.001137        5.397431
  5.000000        1.651425       -0.000000       -0.001137        0.001137        6.025502
  

 

 

 

 

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返信が遅くなり申し訳ありません。

DoeSagのZPLファイルを解析したところ、以下の解釈は誤りでした。申し訳ございません。

>計算式としましては、「ゾーン半径/(2*ゾーン数)」の逆数として算出されています。

 

プログラム中ではプロファイル周波数を直接表す式は、以下の様に表されていました。

これを書き下すと、以下の様になります。

 

Sは以下の記事で計算されている回折光学素子による位相係数を表す式のSであり、正規化を解除されていて、各係数は距離の逆数のべき乗の次元を持つことに注目してください。

https://support.zemax.com/hc/ja/articles/1500005487741

プロファイル周波数とゾーン半径の(n)はn番目のゾーンを表しています。

 

さて、ここで、ゾーン半径はどうやって求まるかですが、ZPLファイルの中では、以下の部分で求めています。

 

こちらも書き下しますと、

 

となります。

この関係式を満たすρの位置を求めることは、StepHightの値が以下の値となるn番目のゾーンの位置を正確に求めていることなります。

 

プロファイル周波数の式はよく見ると、上記の関係式の第1項をゾーン半径で微分した形の式であることが分かります。つまりレンズの動径方向1mmあたりに何本のキノフォームの崖形状があるかを表しており、製造難易度を表す一つの指標となります。

 

上記で示しました式はもちろんエクセルなどで再現可能ですが、上記の式は正規化されていない点と、主波長で計算されている点に注意してください。

また、OpticStudioで波長を設定する場合、プリセットの波長を使用すると、波長の桁数が落ちており計算が合わない可能性があります。いったん以下の様に正規化していない回折係数をご自分でも計算してみて比べてみてください。
合わない場合は、波長の設定が異なる可能性がありますので、主波長をご自分で変更してみると、適切な計算となっていることが分かるかと存じます。

 

以上になります。

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