入射瞳について説明します。
入射瞳とは光学系の入射してくる光の入り口で、物体側からレンズをのぞいたときに見える絞りの像になります。像面側からレンズをのぞいたときに見える絞りの像は射出瞳で、こちらは光学系から射出される光の出口になります。瞳の像は、絞りの前にあるレンズによって作られる虚像となり、実際の絞りの位置とサイズとは異なります。ある光学系での入射瞳の位置とサイズは下図のようになります。
物体面から出射した光の主光線は、絞りの中心を、マージナル光線は絞りの端を通ります。入射瞳の位置は、物体面から出射した光の主光線をレンズによる屈折を無視して、まっすぐ延長したときに光軸と交わる位置となります(破線)。一方、マージナル光線をレンズによる屈折を無視して、まっすぐに延長して入射瞳位置に到達したところが、入射瞳のサイズとなります。先ほどの図で示した入射瞳は、近軸入射瞳になります。近軸入射瞳は、近軸光線に基づいて算出した入射瞳になります。近軸光線追跡については「近軸光線追跡について」をご参照ください。入射瞳および射出瞳のサイズと位置は、システムデータで確認することができます。これらは近軸入射瞳の値になります。
以下のシンプルな光学系で、絞り位置を変えた時の瞳位置とサイズの変化を確認してみます。
近軸入射瞳と近軸射出瞳の位置とサイズは以下のようになっています。
ここで絞りの位置を以下のように変更します。光学系の全長は同じです。
そうすると瞳位置とサイズは以下のように変化します。
このように使用しているレンズや絞りのサイズが同じでも、絞りの位置が変わると瞳の位置だけでなく、サイズも変化し、光学系の性能に影響を与えます。そのため瞳の情報が光学設計において重要になる場合があります。
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