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車載用ヘッドアップディスプレイ(HUD)の設計例を紹介します。

車載用ヘッドアップディスプレイ(HUD)の設計例を紹介します。

仕様は以下とします。

・液晶パネルサイズ:24×8mm

・ドライバーの視野位置の変動範囲(幅×高さ):100×40mm

・投射倍率:5倍(虚像のサイズ120×40mm)

・虚像の距離:1.8m

 

最終的な光学系の全体のレイアウトは下図になります。

HUDから出た光は、フロントガラスで反射して、ドライバーの眼に到達します。

ドライバーは、フロントガラスの先にある虚像が見えます。

 

下図がHUD部の拡大図です。

液晶パネル(LCD)を出た光は、平面ミラーで反射して自由曲面ミラーに入射します。

自由曲面ミラーで反射した光は、再度平面ミラーで反射して、フロントガラスに向かいます。

 

このような光学系では、入射瞳はドライバーの眼となります。

LCD側から光線をスタートさせると、絞りが多くのミラーの先にあるため、絞りの位置の探索が難しくなります。そのため、今回は逆光線追跡を行います。

ドライバーが見る虚像から光線をスタートさせると、入射瞳位置が光学系の影響を受けません。しかし、逆光線追跡すると、コマ収差、ディストーション、倍率色収差が逆になるので注意する必要があります。

 

レンズデータエディタは以下になります。

平面ミラーには2回光が当たるので、面9の座標ブレークのパラメータは面7をピックアップします。

入射瞳系は、ドライバーの眼の位置の変動範囲の外接円直径108mmとします。

1面の絞り面に100×40mmの面アパチャーを設定することで、必要な光線だけを抽出します。

 

視野データは虚像サイズで定義します。

 

最適化は最適化ウィザードを以下のように設定して実施します。

今回の光学系は、入射瞳が矩形のため、「瞳の積分法」を「矩形配列」にします。

「ビネット光線の削除」にチェックを入れると、絞り面でケラレる光線を削除できます。

 

メリットファンクションエディタを追加して以下のように定義します。

12行目でY方向の倍率、16行目でX方向の倍率を定義しています。

 

最適化を実施後に、各面の有効径を設定します。

フットプリントダイアグラムで各面を通過する光束径を確認することができます。

 

今回の光学系では、面6と面10のアパチャーを等しくする必要があります。

 

ヘッドアップディスプレイの性能評価には、画像シミュレーションを使用すると便利です。

 

例えば以下のように設定します。

 

結果は以下となり、像のボケ具合とゆがみ具合が確認できます。

これは入射瞳全体の光束を同時入射させた時の結果になります。

人間の瞳径は3mm程なので、実際に見えるボケはこれよりも小さくになります。

 

参考までに、今回設計に使用したファイルを添付します。


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