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薄膜コーティングの偏光光線追跡で使用されている、「光線」と「フィールド」の係数に違いはありますか。


薄膜理論と OpticStudio で用いられている光線追跡エンジンとは異なる視点からコーティング計算に対してアプローチするため、この問題についてはしばしば混乱が生じます。

薄膜光学では通常、最も一般的には平面波におけるフィールド(電場)を扱います。

一方、光線に対しては微妙に異なる処理が必要です。光線は位置や方向などを含む、非常に小さな局所的なエネルギーの点です。光線は、薄膜光学とは異なる側面の光学を扱っています。

 

たとえば、「光線が表面に当たる点」の概念を考えてみましょう。コーティングされていない光学系では、以下の図の様に光線で簡単に定義できます。

 

一方、ここで、その表面に単純な 1/4 波長層のコーティングを 0.25λ の厚さの別個のオブジェクトとして実装した場合を考えてみてください。 1/4 波長オブジェクトを拡大すると、以下の図の様に表わされます。

 

いま、この図で

  1. どの点が面にあたった点といえるのか
  2. 光線分割点とはどの点のことか
  3. どの光線が入射光線で、反射光線で、透過光線といえるのか

といった疑問が浮かんできます。

 


この図は、薄膜光学で使用される「フィールド」アプローチを示しています。

入射平面波は、ある角度で、空気層-コーティング層およびコーティング層-基板界面にて複数回相互作用します。

各交差点で透過フィールドと反射フィールドが生成され、これらがコヒーレントに合計されます。

強め合ったり弱めあったりするな干渉の魔法を通して、これは巨視的な反射係数と透過係数として解決されます。

入射光の電場は一点に局在化するのではなく、マルチビーム干渉の領域と比較して大きいと想定されます。

 

OpticStudio では、これらをフィールド係数と呼び、薄膜コーティングコードに対して何度もチェックされています。

薄膜業界の慣例では、仮想平面波が最も外側のコーティング層から基板に伝播するときの表面法線ベクトルに沿った位相シフトを測定します。

この規則は、位相シフトが法線入射で最大であり、入射角が大きいほど入射角の余弦だけゼロに向かって減少することを意味します。

ただし光線追跡に対しては多少異なるアプローチが必要です。

 


光線追跡のアプローチは、上の方の図に示されているものと似ています。

入射光線、透過光線、反射光線の3つの光線のみが登場します。

あなたは好きなだけズームインすることができますが、それが得られる結果のすべてです。

コーティング自体は光線追跡されず、別の機能によって処理されます。

 

光線追跡の場合、光の位相の進みまたは遅れは光線に沿って測定されます。

OpticStudio は、コーティングとその厚さを無視し、光線を基板に直接追跡します。

コーティングは、表面に先行する空間に成長すると推定されます。

光線の位相を正しく計算するには、コーティングが開始するポイントまで電界を逆伝播し、法線ベクトルではなく光線ベクトルに沿って測定されるコーティング位相を調整する必要があります。 OpticStudio は、これらを光線係数と呼びます。

光路長は光線に沿って測定され、コーティング内の光線の長さは角度とともに増加するため、光線の位相は約 1 / cos(θ) になります。

これは、光路長にコーティング位相を追加するときに使用する正しい規則です。

 

OpticStudio は、偏光光線追跡において光線係数とフィールド係数の両方を報告するため、両方にアクセスできることに注意してください。

光線係数は、光路長にコーティング位相を追加する場合に必要なものであり、フィールド係数は、薄膜コードとのクロスチェックを容易にするために含まれています。

S偏光とP偏光におけるリターダンスは、どちらの計算を使用しても同じであることに注意してください。


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