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Zemaxソフトウェアを活用した、超小型人工衛星CubeSatの光学系の仮想試作ワークフローをご紹介します。こちらのコミュニティフォーラムにて、事前の質問および開催後の質問を受け付けております。お気軽にコメントを投稿ください。

 

日時:2022 年 4 月 13 日(水)14:00-15:00 

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アブストラクト

AnsysとZemaxのソフトウェアの高度な連携により、超小型衛星の規格CubeSat (キューブサット)の設計ワークフローを合理化する事例を紹介します。OpticStudioが光学設計、OpticsBuilderがオプトメカ設計、有限要素解析ソルバーのAnsys Mechanical が構造熱解析、STARモジュールがOpticStudioでのSTOP分析を行います。この設計・解析プロセスを短時間で回すことで反復検証の試行数が増加し、信頼性の高い製品を実現する仮想試作が実現できます。

プレゼンタ:Zemax Japan 株式会社 シニアアプリケーションエンジニア 石川 孝史 (@Takashi Ishikawa )

STARモジュールはノンシーケンシャルモードでも使用できるか?

いいえ。現在のSTARモジュールはシーケンシャルモードにのみ対応しています。

 

 

STARモジュールはFEAを行うのか?

いいえ。STARモジュールはFEAの解析データをOpticStudioのシーケンシャルモードへ取り込むための橋渡しのような役割を果たすので、FEAそのものを行うツールはユーザ様が用意する必要があります。

 

 

STARモジュールを使用する条件はあるか?

STAR機能を使用するための、OpticStudioとは別のライセンスが必要になります。また、STARを使用するプラットフォームとして、OpticStudioのサブスクリプションライセンス、ProfessionalもしくはPremiumエディションが必要です。

 

 

STARモジュールのライセンス形態は?

現在のところ、ライセンスが一人に紐づくシングルユーザライセンスのみを提供しています。詳細は、弊社までお問い合わせください。


今回のモデルで環境テスト行ったか?

 

いいえ。今回の内容はワークフローのご紹介が目的なので、実物との比較は行っていません。STARモジュール自体は、シミュレーション結果と実測値が一致することを複数のお客様によって確認されています。


面形状の変化がサブ波長オーダーでもサンプリング可能か?

 

STARのフィッティングは離散的なFEA結果から連続面を生成します。変形がサブ波長でも、サンプリングができていれば扱えます。ただし、サブ波長の構造で発生する光学現象は正確に再現できないかもしれません。OpticStudioは幾何光学ベースのソフトウェアなので、スネルの法則によって光が屈折します。微細構造で発生する回折光線をモデル化することができません。


通常環境、寒冷環境のように異なるコンフィグレーションを設定可能か?

 

現在のSTARモジュールはマルチコンフィグレーションをサポートしていません。そのため、異なる温度条件は別のOpticStudioファイルに適用する必要があります。1つのファイルでもFEAデータを切り替えることはできますが、都度フィッティングのプロセスが走ります。1つのサーフェスに複数のFEAデータを割り当てることもできません。


今回のワークフローと、SigFitとの違いは?

 

SigFitはSigmadyne社が提供するソフトウェアになりますので、SigFitに関する詳細は開発元へお問い合わせください。STARモジュールの特徴は、OpticStudioに直接組み込まれていることで、OpticStudioのツールの多くを使用できることです。もう一つは、FEAデータを確認したり、フィッティング結果を視覚的に確認する機能が充実していることです。STOP分析のプロセスが合理化できるのがメリットです。


迷光は考慮したか?迷光をどのようにモデル化できるか?

 

今回の例では、迷光解析は含まれていません。OpticStudioのノンシーケンシャルモード、もしくはOpticsBuilderで迷光を確認できます。また、ノンシーケンシャルモードの解析では吸収エネルギーを解析して、FEAでの熱源として取り扱えます。


OpticsBuilder向け準備はシーケンシャルモードでも使用できるか?

 

はい、できます。OpticsBuilder向け準備ツールは、光学系がシーケンシャルモードの場合は、一度ノンシーケンシャルモードへの変換を実行します。


OpticsBuilderでは、光学とメカ両方の公差解析が可能か?

 

現在は、光学の公差解析はOpticStudioで、メカの公差解析はCAD環境(例えば、Creo EZ Tolerance Analysis Extension)で行います。OpticStudioのシーケンシャルモードの公差解析では、部品のマウント状況を反映できます。


望遠鏡は地上にある想定でモデル化し、それが低軌道環境でも使用できるとのことだったが、OpticStudioで性能を検証するときに真空の影響は?

 

今回のワークフローでは、気圧の影響も考慮できます。事前の別検討によって、真空と大気圧による形状変化は、温度変化による形状変化と比較して2桁小さいことがわかりました。そのため、今回の検討では気圧の変化は含めませんでした。


主鏡下部の切り欠きを、インポートしたCADファイルではなくブール演算を使ってモデル化する理由は?

 

なるべく多くの作業をOpticStudio内部機能で行うことで、ワークフローが合理化されます。CAD部品の場合、曲率半径や切り欠きのサイズを変更する場合はCADファイルを再作成する必要がありますが、OpticStudioのブール演算機能であれば、パラメトリックな操作で設計の修正が可能です。


複合材で作られたアルミニウムミラーであれば、より小さな膨張係数ではないか?

 

今回のウェビナーでは材料の選定そのものにはフォーカスしておらず、CubeSatに使用されている一般的に合理的な材料を仮定しています。お考えのように、より慎重な材料選定により、よりロバストな設計が可能になります。


視野外からの光による画像のコントラスト低下を解析できるか?

 

迷光解析はOpticStudioノンシーケンシャルモードで解析可能です。視野外の光源を追加して、予想される迷光を発生させます。迷光解析を取り扱ったナレッジベースの記事がありますので、参照してください。


ミラーに隣接するペイロード全体の発熱を考慮した場合、再設計は必要か?推奨マージンはあるか?

 

今回のシミュレーションでは電子機器からの発熱は考慮していませんが、これも重要な要素になると思われます。電子機器からの発熱を考慮したFEAを含めたSTOP分析を行うことで、光学系の再設計が必要化の判断ができます。


初期設計の段階で大まかな公差解析を行って、光学公差がメカ公差で担保できるか検証したか?

 

この例では行っていませんが、光学公差はメカ公差で担保する必要があります。今回のワークフロー紹介ではOpticsBuilder、OpticsBuilder、FEA、STARの連携を中心としていましたが、OpticStudioでの光学設計における公差解析も重要なタスクになります。


STARがサポートしている面タイプは?

 

サグ(物理的な面形状)ベースの面タイプがサポートされます。そのため、近軸面のような理想面や、形状と関係ない効果を与える位相面はサポートされません。


FEAの中で各レンズの光軸変化の情報を取得できるか?

 

Ansys内に、ノードの変形に基づいて移動するリモートポイントを使って、剛体移動(光軸の変化に相当します)を評価する機能があります。STARモジュールでは、剛体移動が計算されて、フィッティング前に除去されます。この結果は、フィッティング評価ツールの構造データサマリーで確認できます。


FEA内でミラーを変形させ、OpticStudioでその影響を検証できるか?

 

はい。今回のFEAで行ったのは構造解析で、その変形は熱によって起こったと仮定しています。変形の要因として構造荷重を追加できます。その後のワークフローは今回ご紹介したワークフローと同じで、ACTエクステンションでSTARモジュールのフォーマットで変形データを出力できます。


STOP分析中に追跡している光線本数は?

 

OpticStudioシーケンシャルモードの解析機能の使い方は同じで、各解析機能で使用できる光線のサンプリング数に従って光線が追跡されます。


光学設計データのリファレンスは?

 

Optical Design of a Reflecting Telescope for CubeSat (Jin, Lim, Kim and Kim, 2013), the Journal of the Optical Society of Korea in 2013. こちらを参照しました。


シーケンシャルからノンシーケンシャルへの変換で、ユーザ定義アパチャーを使った変換はできるか?

 

はい。主鏡底面のカットを再現するのに、ユーザ定義面を使用することができます。開口の形状を定義する方法はいくつかあり、例えばブーリアン演算などが使用できます。


スポットサイズがエアリーディスクより小さいことの意味は?この情報をどう解釈して活用しますか?

 

今回の例では、光学系の性能指標の一つとしてスポットサイズを採用しました。光学性能にはエアリーディスク、もしくは回折限界という性能限界があります。エアリーディスクは、光の回折を考慮したときに得られる最小スポットを表します。スポットダイアグラムでどれだけ小さな点に集光しても、エアリーディスクは現実的に達成できるスポットサイズです。他の指標として、波面収差、MTFがあります。


フレームが膨張・収縮してもInvarがミラー間隔を保持する理由は?

 

メカ設計によって、熱膨張係数が低いInvarのロッドから独立して、比較的膨張しやすいフレームを膨張させられます。具体的には、ロッドの片側をフレームに固定して、もう片側をフレームがスライドできるように組み込みます。そして、ミラー保持具はInvarロッドに固定されているので、フレームの膨張による位置変動を回避しています。


ノンシーケンシャルモードへ変換するとき、光線が主鏡で蹴られているにも関わらず、ディテクタの位置をどう設定したのか?

 

ノンシーケンシャルへの変換ツールを使用すると、視野データエディタで定義されたシーケンシャルの視野タイプが互換性のあるノンシーケンシャル光源に置き換えられ、その光源のペアとしてディテクタが作成されます。そのディテクタの場所は、シーケンシャルモードの像面位置によって定義されるので、光線が遮蔽されてもディテクタは生成されます。


軌道上での温度はどのように見積もったか?

 

今回の例では、高度700kmの低軌道を想定しました。もともとの稼働温度は、ハッブル宇宙望遠鏡の稼働温度を参照しました。ハッブルの光学系の動作温度は21度でした。今回のウェビナーではSTARモジュールを含めたワークフローの有用性をお伝えしたかったので、中心温度を15℃、温度変化を±3度に仮定しました。確かに、CubeSatの外側は太陽照射などによって大きな温度変化が生じますが、宇宙応用の光学系には熱制御システムが搭載され、温度による光学性能の変化を抑制しています。


今回の光学系は実際に宇宙に打ち上げられたか?

 

ウェビナーで紹介したCubeSatは、OpticStudio、OpticsBuilder、FEA、STARの仮想空間で扱われていたので、実際に製造して打ち上げたものではありません。


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