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OpticStudio 22.3 リリースノート

  • 19 October 2022
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22.3 リリース ノート

2022 年 11 月 2 日

1 ツール、機能及び利便性

 

1.1 合成面 (サブスクリプションの Professional および Premium エディションのみ) 

軸外しのミラーなどの物理的な面の公差設定が可能 

新しい [合成面] (Composite surface) の機能により、光学部品の挙動を特徴付ける実際のサグが使用されるあらゆる面タイプにおいて、任意の面のサグを基準面のサグに追加できるため、シーケンシャルモードで複雑な面形状を簡単に作成できます。合成面はいくつも積み重ねることができ、全てのサグが基準面に加算されます。 

この高度な機能により、OpticStudio のいくつかの新機能が有効となり、回避策を必要とせずに、あらゆるサグベースの面のイレギュラリティを直接公差にすることができます。TEZI オペランドを使用して、OpticStudio のシーケンシャルモードで、全てのサグベースの面に対して直接、面のイレギュラリティの公差が可能となりました。 

 

1.2 Speos Lens system へのエクスポート (PROFESSIONAL および PREMIUM エディション) 

[システム反転をスキップ] (Skip System Reversal)、コンフィグレーション オプションおよびセンサーマップ機能の追加

新機能として、手動で反転させたシステムの計算中に自動反転ステップをスキップする機能と、マルチコンフィグレーションから特定のコンフィグレーションをエクスポートする機能が追加されました。[Speos エクスポート出力の設定] (Speos Exporter Output Settings) に特定のパラメーターを保存する機能も、ユーザーインターフェースに含まれています。保存できるパラメーターには、ディストーション、入射瞳位置の変化、シャープネスロス、被写界深度および解像度があります。

 

 

新しくセンサーレイアウトが追加され、像面サンプリングの視覚的な表現が改善されました。ディストーションファイル設定の出力は、特定の入力パラメーターを含めたり除外したりして、出力データをカスタマイズすることができます。

 

 

1.3 ノンシーケンシャル 単一光線追跡 (サブスクリプションの PROFESSIONAL および PREMIUM エディションのみ) 

NSC 光学系の光線伝搬を調べるための解析と可視化

新しい [単一光線追跡] (Single Ray Trace) により、元のシステムに影響をあたえることなく、 ノンシーケンシャルモードで単一の光線追跡ができます。ノンシーケンシャルモードでこの機能を使用すると、光線ごとに解析および可視化して、ノンシーケンシャル光学系での光線の伝搬を調べることができます。これは、AR システムで使用される射出瞳拡張光学系など、ノンシーケンシャルモードでモデル化される複雑な結像システムにおける挙動を理解するために重要です。

 

 

1.4 OPTICSBUILDER 向け準備 : 固定アパチャー (すべてのエディション)

絞り面のNSC 固定アパチャーを改善

ZBD ファイル作成する際に、NSC アパチャーへの絞り面の変換を改善する新しい機能が追加されました。この機能により、ユーザーは絞り面が光学部品上に配置されていない (レンズやミラーの表面でない)場合でも、ノンシーケンシャルモードで環リング (円形アパチャー) または矩形アパチャーのどちらに変換するかを決めることができます。

新しい機械的絞り半幅の入力により、ユーザーはノンシーケンシャル オブジェクトの直径または幅を定義できます。

また、[OpticsBuilder 向け準備] (Prepare for OpticsBuilder) に [ステータス] (Status) タブが追加され、ZBD ファイルを準備する際のエラー処理に役立つイベントのログが表示されるようになりました。

 

 

1.5 NSC 回折プロパティ DLL (PROFESSIONAL および PREMIUM エディション)

2 次元回次数向けに強化されたユーザーインターフェース

[ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ] (Non-Sequential Component Editor) の [プロパティ] (Properties) ダイアログ内の [回折] (Diffraction) タブのユーザーインターフェースが更新され、X 及び Y の開始と終了次数を個別に指定できるようになりました。これは、2D グレーティングの正確な特性評価に必要となります。

ユーザーインターフェースに回折パラメーターが追加され、次数の範囲を定義することができるようになり、X と Y の次数が追加されたことで、この機能が強化されました。これらのパラメーターは、基本的に X、Y の開始と終了の次数になります。これらのパラメーターは、2D グレーティングを強化し、これらの複数の次数を定義することで、回折分析を向上させます。

また、[反射] (Reflect) から [透過] (Transmit) へ一度だけコピーする新しい [コピー] (Copy) ボタンがユーザーインターフェースに追加されました。これにより、ユーザーはグレーティングのパラメーターを設定する際に、反射と透過の両方に対して、パラメーターを定義することができるようになりました。

新しいユーザーインターフェースにより、ユーザーは要件にあったより良いプラグインをカスタマイズできます。この新しいユーザーインターフェースを使用したプラグインの構築方法についてより知るには、組み込みの Diff2DSample.dll とそのソースコード Diff2DSample.cpp を参照することができます。

 

 

1.6 STAR モジュール : アクティブ剛体運動 (RBMs) (サブスクリプションの PROFESSIONAL および PREMIUM エディションのみ、STARモジュールのライセンスが必要) 

剛体運動 (RBMs) の新機能 

STAR モジュールには、任意の有限要素解析 (FEA) プラットフォームから読み込まれた構造データセットの高次の面変形から剛体運動 (RBM) を分離する新しい機能が搭載されました。[構造解析データ サマリー] (Structural Data Summary) に新しいチェックボックスが追加され、各面で [フィットしたデフォーメーション] (Fitted Deformations) (RBM を除く) または [抽出されたRBM] (Extracted RBM) の寄与をオンまたはオフにできるようになりました。この機能は、FEA データセットを直接変更することなく、寄与を有効または無効にします。 

また、新しい [構造オプション] (Structural Options) のドロップダウンメニューを使用して、全ての面のフィットしたデフォーメーションと抽出されたRBMをワンクリックで有効または無効にできます。 

 

1.7 NSC拡張多項式レンズのUDA (PROFESSIONAL および PREMIUM エディション) 

[ユーザー定義アパチャー] (User Defined Aperture) (UDA) の追加サポート

ユーザー定義アパチャーが設定されたシーケンシャル面の [拡張多項式] (Extended Polynomial) ミラーを変換して、オブジェクトを作成する場合、ノンシーケンシャルモードでは、 [拡張多項式レンズ] (Ext. Poly. Lens) オブジェクト上に ユーザー定義アパチャー (UDA) が追加されるようになりました。これは、拡張多項式面とレンズによってサポートされる複雑な形状をモデリングする場合に重要で、このようなレンズは、面境界での効果を処理するために特定のアパチャーを必要とすることが多いです。

 

1.8 プロジェクト ディレクトリがサポートするファイル形式の追加 (すべてのエディション) 

[プロジェクト ディレクトリ] (Project Directory) が、より多くのファイルをサポート

Zemax OpticStudio 21.3 で導入されたプロジェクト ディレクトリは、重要な Zemax ファイルを簡単にパッケージ化して保存し、プロジェクトごとに簡単にアクセス及び操作ができます。プロジェクト ディレクトリは、[ファイル] (File) タブの [プロジェクトディレクトリへの変換] (Convert to Project Directory) ボタンを使用して、既存のOpticStudio の設計ファイルから作成することができます。

このリリースでは、 プロジェクト ディレクトリは以下のファイル形式もサポートするようになりました。

  • [物理光学伝搬] (Physical Optics Propagation) (POP) ファイル (.ZBF, .ZMM)
  • [オブジェクト] (Objects) / [光源] (Sources) / IESNA ファイル (.IES, .DAT)
  • [コンフィグレーション] (Configuration) ファイル (.CFG)
  • [オブジェクト] (Objects) / [光源] (Sources) / [光源 (ファイル)] (Source File) (.CRS, .FFD, .RRD, .DAT, .SDF)

 

2 ライブラリ及びカタログ

 

2.1 カタログの更新 (すべてのエディション)

CDGM 社の最新材料カタログを入手可能

[材質カタログ] (Materials Catalog)

  • CDGM の材料カタログが更新されています。
    • 3 つの新しいガラスが追加 : D-ZK21, D-ZLaF85LN, F4GTi。
    • 低軟化系ガラス (D-) は、2 種類のアニール率の屈折率データを提供しており、シリアルナンバーの末尾「-25」は、ガラスの屈折率データが 25 ℃対応データであることを示し、末尾なしのガラスは、4 ℃/h 対応データであることを示しています。
    • 以下の73種類のガラスの屈折率範囲を 2325 nm まで拡張し、その分散式を [セルマイヤ 1] (Sellmeier 1) に変更しました。

      H-QK1, H-K1, H-K2, H-K3, K4A, H-K7, H-K8, H-K11, H-K50, H-K51, H-ZPK1A, H-ZPK3, H-BaK1, H-BaK2, H-BaK3, H-BaK4, H-BaK5, H-BaK8, H-ZK1, H-ZK2, H-ZK3A, H-ZK5, H-ZK7A, H-ZK8, H-ZK10, H-ZK14, H-ZK21, H-LaK1, H-LaK3, H-LaK4L, H-LaK6A, H-LaK8A, H-LaK11, H-LaK12, H-LaK50A, H-LaK53A, H-LaK59A, H-KF6, H-QF1, H-QF6A, H-QF8, H-QF50, H-QF50A, H-QF56, H-F2, H-F4, H-F13, H-BaF2, H-BaF3, H-BaF5, H-BaF6, H-ZBaF1, H-ZBaF3, H-ZBaF20, H-ZBaF50, H-ZF1, H-ZF5, H-ZF50, H-LaF1, H-LaF2, H-LaF3B, H-LaF4, H-LaF4GT, H-LaFL5, H-LaF7, H-LaF51, H-LaF62, H-ZLaF1, H-ZLaF50D, H-ZLaF51, H-ZLaF55C, H-ZLaF71AGT, H-ZLaF89L

    • 41種類のガラスの屈折率の温度範囲を -40 ~ 80 ℃から -60 ~ 140 ℃に拡張し、屈折率の温度係数の定数を修正しました。

      H-K2, H-K8, H-ZPK1A, H-ZPK3, H-BaK6, H-ZK9B, H-ZK11, H-ZK14, H-ZK20, H-ZK50, H-ZK50GT, H-LaK5A, H-LaK12, H-LaK52, H-LaK53A, H-LaK59A, H-QF3, H-F1, H-F4, H-F13, H-F51, H-BaF4, H-ZBaF16, H-ZF3, H-ZF6, H-ZF7LA, H-ZF7LAGT, H-LaF3B, H-LaF6LA, H-LaF10LA, H-LaF50B, H-LaF52, H-LaF53, H-ZLaF75A, D-FK61, D-ZPK1A, D-ZK2L, D-ZF10, D-ZLaF52LA, D-ZLaF67, D-ZLaF85L

  • BIREFRINGENT 材料カタログが更新されています。
    • Quartz と Quartz-E のフィッティング式とパラメーターを、元の参照論文の定義と一致するように修正しました。

      T. Radhakrishnan, ‘‘Further Studies on the Temperature Variation of the Refractive Index of Crystals,’’ Proc. Indian Acad. Sci. A33: 22 – 34 (1951) in Handbook of Optics, Vol. II.

 

3 バグの修正

  • [レンズのスケーリング] (Scale Lens) - レンズのスケーリングツールが誤って、 [正規化半径] (Norm Radius) を 2 倍にスケーリングするという Q タイプ面での問題を修正しました。
  • [ファイバ結合] (Fiber Coupling) – 像面に材料が設定されており、非正規ビーム入射の場合の POP および FICP オペランドによるファイバ結合の問題を修正しました。
  • [グリッド勾配] (Grid Gradient) – GGD ファイルを使用して光を伝搬させると、シーケンシャルモードでは動作するが、ノンシーケンシャルモードでは動作しない問題を修正しました。
  • [OpticsBuilder 向け準備] (Prepare For OpticsBuilder) – 矩形アパチャーを使用し、半径がX Y の値よりも大きい場合、[準備] (Prepare) の処理中に絞り面の機械的半幅が変化する問題を修正しました。
  • [OpticsBuilder 向け準備] (Prepare For OpticsBuilder) – 新しい Cellphone Camera Lens のサンプルで、Q タイプ非球面を使用した場合、自動変換に失敗する不具合を修正しました。
  • [Speos Lens system へのエクスポート] (Export to Speos Lens System) – システムで無視する視野があると、 Speos Lens system へのエクスポートでその視野が削除されず、誤った値でディストーションファイルが作成される問題を修正しました。
  • [回折 グレーティング] (Diffraction Grating) – [回折 グレーティング] (Diffraction Grating) からの位相が、ZRD ファイル内で間違って、欠落する問題を修正しました。これは、OPL データのみ追加され、電界 (Ex、Ey、Ez) には追加されません。
  • [トロイダル レンズ] (Toroidal Lens) – [トロイダル レンズ] (Toroidal Lens) オブジェクトを光線追跡すると、[複合レンズ] (Compound Lens) オブジェクトよりも高い形状エラーが発生する問題を修正しました。また、トロイダル レンズオブジェクトの描画解像度の問題が修正されました。
  • [ブラックボックス] (Black Box) – [ブラックボックス] (Black Box) でアパチャーを設定すると、これらのアパチャーが無視され、[レイ エイミング] (Ray Aiming) がオンの状態で、すべての光線がシステムを通過する問題を修正しました。これにより、ブラックボックスとオリジナルのシステムの間に、間違った結果と差が生じていました。
  • [FFT スル―フォーカス MTF] (FFT Through Focus MTF) – [FFT スル―フォーカス MTF] (FFT Through Focus MTF) を使用した軸外データの結果に、特定のファイルで大きな不一致が発生する問題を修正しました。この問題は、OpticStudio 22.1.2 と22.2 の間で発生します。
  • RCWA 回折] DLL – RCWA 回折] DLL で、完全な電界データを返す時に、[エネルギーロス] (Lost energy) がマイナスになることがある問題を修正しました。

 

4 お知らせ

Zemax OpticStudio 22.3 は、従来のZemax OpticStudio ライセンスにとって最後から2番目のメジャーリリースになります。

2023 年 1 月のZemax OpticStudio 23.1 は、新機能とバグの修正を含む最後のメジャーリリースになります。その後、2023 年末まで、Zemax OpticStudio のサービスパック形式のリリースで、バグの修正のみがリリースされます。 

引き続き最新機能をご利用いただくためには、Ansys Zemax OpticStudio へのライセンスの移行をご検討ください。詳しくは、sales@zemax.com までお問い合わせください。 


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