メジャーリリース

OpticStudio 22.2 リリースノート


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22.2 リリース ノート

2022 年 5 月 31 日

1 ツール、機能及び利便性

 

1.1 レイ エイミング ウィザード (すべてのエディション)

システムに合ったレイ エイミング設定を選ぶためのアドバイスの提供

このツールは、[強化されたレイ エイミング] (Enhanced Ray Aiming)(OpticStudio 22.1 で導入されたアルゴリズムで、マシンビジョン、ドローンの監視カメラ、自律走行車用カメラ、携帯電話のレンズなど、広視野を必要とするアプリケーション向けに特別に設計されています)関連の設定を含め、システムに最適なレイ エイミング設定を決定するのに必要なデータを提供します。新しい [レイ エイミング ウィザード] (Ray Aiming Wizard) を使用すると、正確なシステム解析とモデリングのために、いつ、どのようにレイ エイミングを使用するかを知ることができます。このツールは、シーケンシャルモードのシステム エクスプローラの中のレイ エイミング セクションにあります。

レイ エイミング ウィザードを実行すると、テキスト レポートが生成されます。レポートには、4つの主要なセクションがあります。

  • [基本システム情報] (Basic system information) : ファイル名、システム アパチャー、視野設定。
  • [推奨設定] (Recommended Settings) : レイ エイミング設定の推奨リストです。
  • [レイ エイミング設定決定基準] (Decision Metrics) :レイ エイミング ウィザードがどのようにシステムをテストし、推奨設定を見つけたかの概要です。
  • [生データ] (Raw data) :前のセクションで示した各判断に使用されたデータです。

 

推奨設定を確認した後は、ボタンをクリックするだけで適用し、ツールを閉じることができます。

 

レイ エイミング ウィザードは、レイ エイミングが必要なすべてのシステムの設定を支援する強力なツールですが、レイ エイミング設定の選択を誤ると予期しない動作(解析結果の不連続性や光線の消失など)につながるシステムで特に役に立ちます。ただし、レイ エイミング設定の組み合わせによっては、そのような予期せぬシステムの挙動を解決できない場合があります。そのような場合、レイ エイミング ウィザードは推奨設定を提供しないことにご注意ください。

 

1.2 強化されたレイ エイミングの改善 (すべてのエディション)

対応できる視野タイプとアパチャータイプの追加

[強化されたレイ エイミング] (Enhanced Ray Aiming) がより多くのアパチャーと視野タイプで使用できるようになり、より幅広い光学系に対応できるようになりました。[絞り面半径による定義] (Float By Stop Size) に加えて、システムアパチャーが [入射瞳径] (Entrance Pupil Diameter) または [像空間 F/#] (Image Space F/#) の場合にも、強化されたレイ エイミングを使用できるようになりました。これらは、従来からのレンズ設計にも対応できるための重要な追加機能です。

  • 例えば、ナイトビジョンシステム、顕微鏡、マシンビジョンシステム、従来の写真レンズ、AR/VRシステムなどの低照度システムにおいて、照明の量が限られている場合、瞳径の制御は特に重要です。
  • 像空間 F/# PSFのサイズとシステム解像度を制御するため、このアパチャー設定は望遠鏡、顕微鏡、近接撮影用の対物レンズなどの回折限界システムで使用されます。

以前はこの機能が対応できる視野タイプは、物体距離が無限大の場合は、[角度 (度数)] (Angle in degrees) と [セオドライト角度 (度)] (Theodolite angle in degrees)、物体距離が有限かつ視野角度が 180°未満の場合の [物体高](Object height) に限定されていました。今回、有限の物体距離を持つ光学系に視野タイプが角度(度数)およびセオドライト角度(度)もサポートされるようになりました。これは、セキュリティカメラや写真、測量用の魚眼レンズなど、視野角が180°を超える広角システムで主に役立ちます。

これらの改良により、この新しいアルゴリズムが、解析における「追跡できない」エラーや不連続性などの問題に対処できる設計の範囲が拡大しました。

 

1.3 SPEOS LENS SYSTEM へのエクスポート (PROFESSIONAL および PREMIUM のみ)

Speos のシミュレーションで使用するための、次元を削減したモデルを現在の光学系から作成

Ansys Speos は,コンポーネントレベルの設計を包括的なシステムシミュレーションを統合して,レンダリングと可視化を行うためによく使用されます。その一例が,以下で紹介する OpticStudio で設計したカメラセンサーの統合です。https://www.zemax.com/blogs/news/zemax-and-ansys-collaborate-to-enable-safer-reliable-autonomous-vehicle-navigation。OpticStudio から Speos へのデータ転送は、これまで別のツール (Speos Lens System Importer) で対応していましたが、22.2 リリースからは、必要なデータモデルを OpticStudio から直接作成することができるようになりました。生成されたモデルには光学系の関連パラメータが含まれており、現実的な環境での正確な光学センサーシミュレーションを可能にします。

次元を削減したモデルの計算には、センサーの幅と高さ、サンプ ルポイント数、プローブ光線数を定義するだけです。Ansys Speos Distortion ファイルが計算され、[Speos Lens system へのエクスポート] (Export to Speos Lens System) ツールがタイミング、計算されたサンプルポイント、瞳ベクトル、瞳半径、各瞳の焦点距離、与えられた瞳の光学系効率、光線発散をレポートします。このツールは現在、回転対称のシステムのみをサポートしています。

このツールは、[ファイル] (File) > [エクスポート] (Export) > [Speos Lens system へのエクスポート]  (Export to Speos Lens System) にあります。

 

1.4 STAR: 新しい性能解析 (サブスクリプションの PROFESSIONAL および PREMIUM エディションのみ、STAR モジュールのライセンスが必要)

温度変化や構造変形がシステム性能の変化にどのように寄与しているかを知ることが可能

[性能解析] (Performance Analysis) では、温度変化や構造変形がシステムの光学性能の全体的な変化にどのように寄与しているかを面単位で確認することができます。このツールは、FEA データセットを順次オン/オフして、指定した性能指標 (RMS 波面収差またはRMSスポットサイズ) の変化をモニターすることで動作します。

さらに、この解析では、2次元の構造変形と3次元の温度データによる性能変化の寄与を区別することができます。その結果、どの面が性能の変化に寄与しているかだけでなく、その変化の性質も把握することができます。

この解析により、各面の温度変化や変形が個別にシステム性能をどのように変化させるか、各面を追加した場合の累積性能、さらにすべての効果を組み合わせた場合のシステム性能の変化を検討することができます。さらに、テキストタブで、データの確認やコピーを簡単に行うことができます。

 

1.5 ZRD/ ZBFからTSVへの変換 (PROFESSIONAL および PREMIUM のみ)

MATLABを使用せずにZRDまたはZBFファイルを解析

このツールは、ZRDファイルまたはZBFファイルからデータを読み込み、タブ区切り値 (TSV) テキストファイルに書き出します。この機能は、出力をネイティブの MATLAB にのみ書き出す従来の [MAT への変換] (Convert To MAT) ツールに代わるものです。[ZRD/ ZBFからTSVへの変換] (Convert ZRD or ZBF to TSV) ツールの出力ファイルはプログラムに依存しないため、あらゆるポスト処理ソフトウェアで使用することができます。この機能では、MATLAB のインストールは必要ありませんが、TSV テキストファイルは MATLAB (およびTSVファイルを読むことができる他のツール) で後処理をすることができます。

 

1.6 CREO 7 のダイナミック リンクに対応 (PREMIUM のみ)

PTC Creo Parametric 7で作成した部品やアセンブリを動的に修正し、最適化することが可能

OpticStudio Premium は、原始的な形状や一般的な形状では容易にモデリングできないオブジェクトをモデリングしパラメトリックに制御するために、PTC Creo Parametricパーツおよびアセンブリ ファイルをノンシーケンシャルモードで動的に開くことができます。ネイティブCADパーツは、関連するオブジェクトタイプを使用して、[ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ] (Non-Sequential Component Editor) に簡単に取り込むことができます。オブジェクトに定義された明示的な寸法は、ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ内で表示および制御することができます。これにより、光学エンジニアは機械エンジニアが使用するのと同じファイルを、フォーマット変換の必要なく使用できるようになります。

OpticStudioは現在、PTC Creo Parametric 7および以下の過去のリリースとのダイナミック リンクをサポートしています。Creo Parametric 6、5、および4です。使用するCreoのバージョンを変更するには、OpticStudioの環境設定でお好みのCreoインストールへのパスを設定するだけです。

 

1.7 ZMXファイルタイプのサポートの改善(すべてのエディション)

お好みのデフォルトファイル形式の設定

OpticStudioの [環境設定] (Preferences) で、デフォルトのファイル形式を最新のバイナリファイル形式(ZOS)または過去のテキストベースファイル形式 (ZMX) のいずれかに設定することができるようになりました。これにより、OpticStudio は新しいレンズファイルを開始し、希望するフォーマットで保存します。どちらのファイル形式もすべての OpticStudio の機能をサポートし、ZMX 形式が非推奨であるとする以前の警告は削除されました。

 

1.8 新しいバイナリ レンズ カタログのファイル フォーマット (すべてのエディション)

ZOSファイルの入ったフォルダを、市販 レンズ カタログ ファイルに変換

[個別カタログの作製] (Make Private Catalog) ツールは、テキストベースの ZMX ファイルに加え、バイナリ形式の ZOS ファイルにも対応するようになりました。このツールは、ZOS または ZMX ファイルの入ったフォルダをレンズ カタログ ファイルに変換するために使用します。フォルダに ZMX ファイルが含まれている場合、ツールは ZMF ファイル拡張子を持つカタログを作成しますが(従来通り)、フォルダに ZOS ファイルが含まれている場合、ツールは新しいファイル拡張子 (ZLC) を持つカタログを作成します。

このツールにアクセスするには、[ライブラリ] (Libraries) > [市販部品] (Stock Parts) > [個別カタログの作製] (Make Private Catalog) を選択します。

 

1.9 プロジェクトディレクトリでサポートされるファイルタイプの追加 (すべてのエディション)

プロジェクトディレクトリはさらに多くのファイルをサポート

OpticStudio 21.3 で導入された [プロジェクトディレクトリ] (Project Directory) は、重要な Zemax ファイルを簡単にパッケージ化して保存し、プロジェクト単位で簡単にアクセスおよび操作できるようにするシステムです。プロジェクトディレクトリは、[ファイル](File) タブの [プロジェクトディレクトリへの変換] (Convert to Project Directory) ボタンを使用して、既存の OpticStudio の設計ファイルから作成することができます。

OpticStudio 22.2 では、プロジェクトディレクトリは以下のファイルタイプもサポートするようになりました。

  • グリッドファイル(.GRD)
  • EULUMDAT光源ファイル (.LDT)
  • 公差解析ファイル(.TOP, .DLL)
  • [Zemax ブラック ボックス ファイル] (Zemax Black Box Files) (.ZBB)
  • ユーザ定義アパチャーファイル (.UDA)

 

2 ライブラリ及びカタログ

 

2.1 カタログの更新 (すべてのエディション)

Ohara、Qioptiq Asslar および MKS Instruments. の最新カタログ

材質

  • Ohara 材料カタログを更新し、6種類の新材料を追加、PBL35Y の透過率データを更新しました。

[原器合わせ] (Testplate)

  • Qioptiq Asslar 原器合わせリストが更新され、200以上の新しい原器合わせが追加されました。

コーディング

  • Coating.DAT ファイルを更新し、MKS Instruments. 社の ZEC_AR-16 コーティングを追加しました。

 

3 バグの修正

 
  • [OpticsBuilder 向け準備] (Prepare For OpticsBuilder) - ダミー面または機械的アパチャーの値が0でない絞り面を、ツールが正しく変換しない問題を修正しました。
  • STAR -熱FEAデータで光線追跡が失敗することがある問題を修正しました。
  • 近軸光線追跡 – [ブラックボックス] (Black Box) 面の光線ビネッティングをチェックすると、光線追跡のエラーになることがある問題を修正しました。
  • ZOS ファイル タイプ - ZPL ソルブが ZOS ファイル形式では間違って保存されていた問題を修正しました。
  • ZOS ファイル タイプ - [ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ] (Non-sequential Component Editor) プロパティの [オブジェクト指定] (Consider Objects) と [無視するオブジェクト] (Ignore Objects) の設定が、ZOS ファイル形式で保存されていない問題を修正しました。
  • STAR [FEA データ ビューア] (FEA Data Viewer) - STAR FEA データ ビューアにおいて、Windows の地域設定で小数点記号をピリオドではなくカンマに設定した場合に、結果が正しく表示されない不具合を修正しました。
  • [OpticsBuilder 向け準備] (Prepare For OpticsBuilder) – CAD パーツ: Creo Parametric および CAD アセンブリで発生する不具合を修正しました。Creo Parametric オブジェクトが、OpticsBuilder 向け準備ツールでサポートされていないものとして誤ってマークされていた問題を修正しました。
  • RCWA DLLs - Stochastic mode で各次数のパワーを計算する際の問題を修正しました。以前は、パワーが Ex^2+Ey^2+Ex^2 として誤って計算されていました。
  • STAR -レンズ前面に熱データを付加したレンズから出た後の光線が、レイアウトで正しい方向を表示しない不具合を修正しました。

4 既知の問題  

 

次の問題に注意してください。

  • [ダイナミックリンク] (Dynamic Link) – OpticStudio と同じコンピュータにOpticsBuilder for Creo をインストールし、OpticStudio の CAD オブジェクトと Creo Parametric 7 のダイナミックリンクを使用したいユーザにとって、この問題を解決するために注意を要することが知られています。一部の環境では、CAD パーツの作成またはロード中に  Creo Parametric 7 へのダイナミックリンクの接続に失敗します。Creo Parametric または CAD アセンブリの作成または読み込み中に、Creo Parametric 7 へのダイナミックリンクの接続に失敗する場合があります。この場合、OpticStudioが応答しなくなります。この動作を防ぐには、Creo Parametric 7 を開き、以下の警告メッセージのいずれか(または両方)が表示されるかどうかを確認する必要があります。各警告メッセージについて、[Remember this decision] にチェックを入れ、[Yes] をクリックしてください。

 


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