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表記のオンラインセミナーを実施予定です。このコミュニティフォーラムにて、事前の質問及び開催後の質問も受け付けますので、お気軽にコメントを残してください。

 

日時:2021 年 9 月 15 日(水)14:00-15:00 

参加リンク:https://go.zemax.com/5877976385064324877-register.html

アブストラクト

現実の光学系では、熱や構造変形が性能に大きな影響を与えてしまう使用用途があります。

今回のセミナーでは、ハイパワーレーザー光学系を例に、OpticStudio を使った光学系、OpticsBuilder によるモデルの表示、FEA 解析が設定された光学系の STAR 性能評価を、実際のファイルを元にしてた実操作を含めてご紹介します。

熱や構造変形を伴う難しい光学系に対しても、試作回数を最低限とした光学系の量産化に向けた検討例となると存じますので、是非ご視聴ください。特に、2021年5月に登場した、OpticStudio 21.2 より使用可能な STAR モジュールについても動作をご確認いただけます。このモジュールは、FEA データにより解析された構造変形や熱変形を OpticStudio に取り込み、光学解析をシームレスに行えるようにするためのモジュールです。

プレゼンタ:Zemax Japan 株式会社 オプティカルエンジニア 松元 峻士

本セミナーにご参加いただいた方からのご質問とそれに対する回答をまとめました。

ご参加いただきありがとうございました。

 

Q:Opticsbuilderを使っての、メカ設計の変更はできるのでしょうか?Opticsbuilder単独ではメカ設計ができず、ソリッドワークス等のCADソフトは必要ですか?

A: はい、OpticsBuilderはSOLIDWORKS又はCreoパラメトリックのアドオンとして働くソフトです。メカ設計のためにはこのどちらかのCADのライセンスが別途必要となります。


Q: FEAを実施するためには何か解析ソフトを用意する必要がありますか?

 

A:はい、必要となります。STARモジュールを含むOpticStudio単独ではFEA解析自体ははできません。例えばAnsys Mechanical, Nastran, Abaqus 等のソフトがが必要です。


Q: Webinar中に使われたFEAデータは、Webinar中に示されたパイソンコードで作ったFEAデータのことですか?それともパイソンコードで作ったFEAデータをANSYSで熱解析してから保存したFEAデータでしょうか?

 

A: パイソンコードで作成したのは、光線が熱吸収されたエネルギーを解析したデータとなります。そのデータを熱源データとしてFEA解析ソフトにて解析し、熱による屈折率変化をOpticStudio内で計算させて、熱により発生した構造変形をフィッティングをかけて取り込んだうえで光線追跡しています。


Q: STARモジュールを使用するワークフローの中にOpticsBuilderもありましたが、こちらも必ず必要になりますか?

A:​ ​​​​​​いいえ。OpticsBuilderが存在することで、迷光や散乱を考慮したメカ設計を行う際のワークフローの効率がよくなりますが、メカ設計自体にOpticsBuilderは必ずしも必要ではありません。


Q: プライベート材料の、高温時の屈折率データはどのような形で用意すればいいですか?

A: OpticStudioで熱による屈折率変動を計算する際は、以下のプロセスに従います。
 

 

長い記事のため中略していますが、ここでわかる通り、一般的には硝材データの中にパラメータが含まれます。
こちらを入手して頂ければと存じます。より詳細なデータそのものについては、各硝材メーカーにお問い合わせいただければと存じます。


Q : 複屈折性材料(光学的異方性材料)の熱影響は、解析できますか?

A : 残念ながら現状STARモジュールでは解析できません。ノンシーケンシャルコンポーネント面を含んだり、グリッド位相面やGRINレンズ、物理光学伝搬を使った解析も現在の所同様にできません。


Q : FEA解析としてソフトを挙げて頂きましたが、今後これ以外のソフトにも適用予定はありますか?(例えばSolidWorksのアドオン熱解析ソフト等)

A : FEA解析ソフトの性質上、全てのFEAソフトで対応かのうではないかと存じます。

といいますのも、STARモジュールで読み込める形式は、全てテキストの形式で、構造データはXYZのノード位置+⊿X,⊿Y、⊿Zのノードの微小変化量を示す値という、6つの値によるCSV形式です。
このような形式の出力に対応しているソフトであれば対応可能です。
同様に、熱データもX,Y,Zのノード位置+温度という形式のファイルとなります。


Q : STARモジュールのフィッティングがイメージできませんでした。フィッティングのGrid数を変えるとPV残差が減ったことが示されていましたが、フィッティングをパラメトリックな面で行なっているということでしょうか。(以前お聞きした際はグリッド補間に近い面をされていたと理解していました)。パラメトリックな面でなくグリッドサグ間で補間している場合は、(スポットダイアグラムのような光線評価であっても)、正確な光学性能を評価する際に光線本数を多くしなければならないと思いましたが、正しいでしょうか。

A : 不均一なFEAデータにも対応できる数値フィッティングが採用されています。
以下で示すプロセスをたどります。(ヘルプファイルの抜粋となります。)

  • 構造解析データ
  1. データを STAR に読み込みます。
  2. 任意の座標変換を適用して、OpticStudio で適切な位置にデータを配置します。
  3. メッシュの各点の Z 座標が、その点と同じ X 座標と Y 座標の位置で OpticStudio によって定義されている Z 座標に置き換えられます。多くの場合、光学解析の観点から FEA メッシュは粗すぎるので、この置き換えが実行されます。
  4. ユーザーの選択に従って、剛体運動 (RBM) が除去されます (フィットアセスメントツールで剛体運動の除去を無効にすることができます)。
    1. デフォーメーション ベクトル (dX、dY、dZ) に対して、6 つの自由度によるフィッティングが、このアルゴリズムによって実行されます。
    2. 変動しないメッシュ点のセントロイドを中心とした RBM のティルトが計算されます。この計算は非加重なので、すべてのメッシュ点の重みは等しいと見なされます。
    3. フィッティングの前にデフォーメーション データから RBM が除去されます。
  5. 複数段階の高精度化を経る区分的な B スプライン フィッティングを使用して、2D フィッティングが実行されます。
  6. 計算された構造のデフォーメーションが、光学部品の面のサグに追加されます。
  7. フィッティングしたデータは、<Objects>/STOP Objects フォルダに ZST ファイルとして保存されます。この場所には、元のデータも保存されます。


これにより最終的にデフォーメーションはスプラインフィッティングによる2Dフィッティングがサグとして面に重畳された状態として再現されます。

正確な像面データを得るためには、やはり一般的な光学面よりも多くの光線が必要となります。

参考としまして、熱解析データにつきましても、以下示します。

  • 熱解析データ
  1. FEA データを STAR に読み込みます。
  2. 任意の座標変換を適用して、OpticStudio で適切な位置にデータを配置します。
  3. 温度値は、指定の材料が指定の温度で示す屈折率に変換されます。
  4. 複数段階の高精度化を経る区分的な B スプライン フィッティングを使用して、3D フィッティングが実行されます。
  5. この目的向けに作成された STOP GRIN 材料を使用して、フィッティングした温度が光学部品に追加されます。
  6. フィッティングしたデータは、<Objects>/STOP Objects フォルダに ZST ファイルとして保存されます。この場所には、元のデータも保存されます。

Q : OpticsBuilderで構造設計を行う際、光学素子の公差の影響は考慮できますか?

A : はい、可能です。

公差の乗った状態のデータで、「OpticsBuilderへの準備」ツールを使うことで、公差が乗った状態のデータをOpticsBuilderにコンバートして確認することが可能です。

公差が乗った状態のデータを作成するには、OpticStudioでは公差解析時にデータを保存する設定を行うことで達成できます。最悪値や最良値のデータも別途作成可能です。


Q : 今回のモデルでの光源のパワーと、支配的な面変形が生じている場所(主にミラーでしょうか?)について教えてください。

 

A : 今回セミナーで使いましたモデルでは、800Wのレーザを60秒間当てたモデルを使用しました。

今回のセミナーで配布していますデモファイルでは、10秒、60秒、600秒、1800秒、3600秒照射させた状態のファイルを同梱しています。

60秒照射したファイルでは最初の折り曲げミラーの構造変形が支配的です。


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