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複屈折物質による偏光回転をモデル化する方法

  • December 25, 2023
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Takashi Matsumoto
Fully Spectral
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この記事は以下の記事を翻訳したものです。

複屈折材料でできたオブジェクトの偏光の回転を適切にモデル化するには、以下の様にノンシーケンシャルコンポーネントエディタのオブジェクトの プロパティを変更します。屈折率タブから屈折率タイプで複屈折を選んで波長プレートモードを設定する必要があります。

モードのパラメータを変えることで、実際に追跡される光線を選択できます。エネルギーの分布はこの設定で変化しませんが、追跡されない光線に割り当てられたエネルギーは、"閾値によるエネルギーロス"として報告されます。常光、異常光のいずれか、または両方をトレースすることができますが、波長プレートモードは、常光の経路に沿ってエネルギーを追跡する一方、異常光の電場も一緒に伝搬され、全電場は常光と異常光の方向の屈折率の差分によって位相回転されます。

そのため、物体中の偏光の回転をモデル化するには、波長プレートモードを使用する必要があります。

添付のサンプルファイルでは、偏光[1, 1](XYの中間の45°方向の偏光)をもつ光源(矩形)から軸に平行な光線を射出しており、複屈折材料KDPを使用した長方形ボリュームを半波長板として使用しています。オブジェクトの厚さは、常光と異常光の光路差が波長の半分に等しくなるように設定します。2分の1波長板は偏光を90度回転させます。第3オブジェクトとしてに、ジョーンズ行列オブジェクトが結果の偏光をチェックするために使用されます。これは、光源の偏光と平行な偏光を透過するように設定されているので、すべての光線が透過していないことが、モデルで確認することができます。

複屈折タイプの設定に関する詳細は、以下のヘルプファイルを参照してください。

[設定] (Setup) タブ > [エディタ] (Editor) グループ ([設定] (Setup) タブ) > ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ > [オブジェクト プロパティ] (Object Properties) (ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ) > [屈折率] (Index) > [複屈折] (Birefringent) タイプ

 

2 replies

Yihua Hsiao
Zemax Staff
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  • Zemax Staff
  • December 4, 2025

今回の設定(入力偏光:Jx=1, Jy=1、1/2 波長板:Ax=0, Ay=1, Az=0)においては、
光は最終的に 完全に消光され、ディテクタの出力が 0 になることを確認いたしました。

image.png

image.png

1.理由を簡潔にまとめると、以下の通りです。

  • 入射偏光([1, 1])は 45° の線偏光です。

  • 今回の 1/2 波長板は、軸方向(Ay=1)が Y 軸となるため、偏光を 180° 回転させ、135° 偏光に変換します。

  • その後の Jones 行列

    image.png 

    は「45° 成分のみを通す偏光子」と等価であり、135° 偏光は完全に遮断されます。

  • その結果、最終的な偏光ベクトルは [0, 0] となり、光は検出されません。

2.Ax / Ay / Az の意味(Waveplate モードの光学軸の設定)

Zemax の Waveplate モードでは、
半波長板(および複屈折材料)の光学軸は 3D ベクトル(Ax, Ay, Az)で定義されます。

  • (Ax, Ay, Az) は、材料内部の結晶の光学軸(extraordinary 軸)の方向を示します。

  • Zemax は内部でこのベクトルを正規化し、方向のみを使用します。

  • この光学軸方向と電場ベクトルの関係によって、

    • ordinary 成分

    • extraordinary 成分に分解され、それぞれ異なる屈折率で伝搬します。

例:Ax=0, Ay=1, Az=0 の場合
→ 光学軸は Y 軸方向
→ 半波長板としての「速軸」も Y 方向に一致
→ その結果、偏光の X 成分が反転し、Y 成分は変化しません
→ 偏光方向が 180° 回転する(1/2 波長板の効果)

3.  1/2 波長板の厚みの決め方

1/2 波長板の厚み t は、
ordinary(nₒ)と extraordinary(nₑ)の屈折率差 Δn によって
位相差が π(= 1/2 波長)になるように決定されます。

式は以下の通りです:

image.png ​

ここで

  • λ:設計波長

  • Δn = nₑ − nₒ:複屈折量

この厚みで、ordinary と extraordinary の伝搬位相にちょうど 1/2 波長差が生じ、偏光方向が 2θ 回転する半波長板として機能します。

 


Yihua Hsiao
Zemax Staff
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  • Zemax Staff
  • December 4, 2025

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