自然現象で見られる虹を、OpticStudioにて再現できましたのでご紹介いたします。
虹のような色彩を伴うシミュレーションを行います。
下図は今回のシミュレーションの結果です。
下の明るい虹が「主虹」と呼ばれております。上の薄い虹が「副虹」は呼ばれております。
その間の暗い部分は「アレキサンダーの暗帯」と呼ばれるそうです。
副虹は暗く、赤から紫への色の並びが、主虹とは逆となります。
まず、虹の基本的な原理を確認します。
虹は空気中の水滴による屈折と反射によって発生します。
空気中には水滴が浮かんでおります。
この水滴に太陽の光が入射すると、波長ごとに異なる方向に屈折します。
屈折したそれぞれの波長の光は、水滴内部にて鏡面反射(一部の光は通過します。)をして
再び空気中へ抜け出してきます。
虹を見る時、この空気中に抜け出してきた光を観測することとなります。
この現象をノンシーケンシャルにて再現すると下図のようになります。
左上に太陽光として光源を設置しました。
光源には黒体放射を指定しています。
温度は太陽と同じく6000ケルビンに設定しました。
波長は、0.4um~0.7umの間で100波長指定しています。
右側にある円形(球形)のオブジェクトは水滴を表しています。
光線はほとんどが水滴を透過します。
しかし、光線の一部は水滴の内部に侵入し、フレネル反射(反射率2%)したのちに
水滴の下部から射出されます。
これが主虹及びその下方の明るい領域を作り上げます。
水滴の内部に侵入した光線の一部は、2度反射して水滴から射出されます。
水滴内部の反射率は2%のため、2度反射された光は1度反射された光と比較すると、
2%しかエネルギーしかありません。
シミュレーションを行った結果は下記となります。
このままでは、暗闇に浮かぶ虹となるため、背景が青空となるようにオブジェクトを設置します。
青空とするオブジェクトの反射率は下記のように設定しました。
短波長側の反射率を高くしたため、青く色づきます。
※この反射率は実際の空気の散乱特性とは異なります。青空を模すために設定しました。
光線追跡を行うと下記の結果を取得できます。
このシミュレーションでは、Detector Color のローカル座標軸を表示すると、y軸が下になっていることが分かりました。
Detector Viewer では通常の虹のような円弧が描けていますが、実際は上下反転していて、NSC シェーデッドモデルでもそのように表示されています。
もっと実際の虹のようなシミュレーション結果を得るにはどうすればよいでしょうか。
ご質問いただき、ありがとうございます。
ご指摘は仰る通りです。
実際の現象と照らし合わせると、人間の目で見るため画像は反転いたします。
こちらの記事ではその説明が抜けておりました。申し訳ございませんでした。
そこで、より実際の虹のようなシミュレーション結果にするためには
人間の目をシミュレーションに加えてみてはいかがでしょうか。
弊社ナレッジベースには人間の目のモデルの記事もございますので
参考にそちらのリンクを記載いたします。
人間の眼の OpticStudio でのモデル – 日本語ヘルプ (zemax.com)
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