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ピンホールカメラの解析

  • 26 August 2022
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幾何光学で考えると、ピンホールカメラのピンホール径は小さいほど分解能が向上しますが、光の回折性を考えると、ピンホール径が小さくなると回折の影響で光が拡がりますので、小さすぎるピンホールはかえって分解能を低下させるはずです。
そこで、このトピックではピンホールカメラの分解能を最も向上させるピンホール径の解析例を紹介します。
 

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Best answer by Takashi Matsumoto 26 August 2022, 05:40

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システムエクスプローラで、下図のようにアパチャータイプを入射瞳径として、アパチャー値に1を入力し、像面では結像しない光学系のため、アフォーカルモードを選択します。
アフォーカルモードを選択すると、像側での評価は角度単位で行われるようになります。
同様に波長を1波長のみ 0.555 ミクロンに設定します。

使用する角度の単位は下図のように「単位」タブをクリックして、「アフォーカルモード単位」を設定します。
本例では radian 単位を選択しています。

レンズデータエディタは、下図のように物体距離無限遠として、絞り面をピンホールとして、第1面の厚みはピンホールから像面までの距離として、300mm を設定します。

像面における点像の半径は、回折拡がり半角に厚みを掛けた、回折によるビーム半径に、幾何光学的像半径を加えた値になります。
そこで、メリットファンクションエディタを使って下図のように定義します。

1. 回折理論によると、エアリーディスク半径の中に含まれるエネルギーは入射エネルギーの83.8%です。従ってエンサークルドエナジーを定義するオペランド DENC を使い、「割合」を0.838 とすることで、エアリーディスク半径を取得できます。この値の単位はラジアンですので、1面の「厚み」を掛けることで、像面での半径になります。

2. 入射瞳半径はDMVAオペランドにて第1面の直径がで取得でき、2で割ることで半径を求めています。

3. 両者を足し合わせたのが10行目の値です。

解析タブのユニバーサルプロットアイコンから ユニバーサルプロット1D > 新規
をクリックし、


設定画面で下図のように設定します。
横軸は入射瞳径、縦軸がメリットファンクションの11行目です。
 

OKボタンを押すと下図のようなグラフが描かれます。

上記グラフから、ピンホールから像面までの距離が300mmの場合に分解能を最も向上させるのは、ピンホール直径が0.7mmの場合であることがわかります。

本例のZARファイルも添付しましたので、参考にしていただければと存じます。

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上のポストで作成した光学系を使って、画像シミュレーションを行う方法を追記します。

 

最適化したピンホール径は0.7mmで、これはピンホールから300mm離れた像面からは、0.7/300のアークタンジェントを計算することで、視直径 0.0023 ラジアンに見えることがわかります。

そこで、メニューバーから
解析タブの 拡張光源解析アイコンより「部分的コヒーレント像解析」を開き、


以下のように設定します。

 

ファイルサイズをラジアン単位で指定するのは、今はアフォーカルモードを使用していて、その角度単位にラジアンを指定しているからです。
「部分的コヒーレント像解析」では、ファイルサイズを像側で指定する点に注意してください。
「ファイル」に ”CIRCLE” を指定することで、ピンホール形状の円を定義しています。
以下の解析結果が得られます。
 

上図は、ピンホールカメラの像面における点像強度分布を角度単位で表現したものです。
横軸の最大値は、4.59E-3 ラジアンですので、ピンホールから300mm離れた像面では 1.377mm に相当します。

本来はこの像を使って画像シミュレーションを実行するのが望ましいですが、OpticStudioのデフォルトの機能ではこの点像分布を使って画像シミュレーションを行うことができません。
そこで、この像をピンホール径をより小さくしたときの PSF(点像に対する回折像) で代用することにします。

下図は、そのピンホール径を求めるためのメリットファンクションです。
11行目は、前の記事で定義した「幾何光学的像と回折像の半径の和」を定義しています。
13行目以下に コンフィグレーション2 のPSF半径を回折像の半径のみで定義し、19行目で11行目と17行目が一致する目標を定義しています。

マルチコンフィグレーションエディタを使って下図のようにシステムアパチャーを定義し、コンフィグ2 の値を最適化すると、0.313mm になります。

解析タブから PSF アイコンの FFT 断面をクリックして、

 

以下の様に設定すると、上の「部分的にコヒーレントな像解析」と同じスケールで強度分布を表示できます。

OKボタンを押すと下記グラフが得られます。
これが、画像シミュレーションを行う場合に代用すべき PSF のプロファイルです。

この図から、エアリーディスクの直径が約1.94mradであることがわかり、そこから求められる分解能は約6.7分 になります。

本ポストの例示ZARファイルも添付しましたので、参考にしていただければと存じます。

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