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シングルモードファイバーのカップリングシステムには、POPとシングルモードカップリングのどちらを使うべきでしょうか?

自身のシステムにおいてどちらの方法を使うべきか、あるいは結果が異なる場合、どちらを信用すべきか、という質問はよくあります。この質問に答えるために、まず2つの方法の違いについて説明します。

 

結合効率を計算するときには、どちらの方法であってもビームの振幅W(x,y)とファイバーの受光モードFr(x,y)との間の正規化した重なり積分を行うことになります。重なり積分とは、2つの複素数の振幅分布を比較するようなものです。もし両者が同じであれば、積分値は1となり、同じでないならば結果は1よりも小さくなります。シングルモードファイバーの場合、シリンダー導波路なのでFr(x,y)はガウスビームモードで近似できます。

 

POPとシングルモードカップリングの主な違いは、ビーム振幅W(x,y)の計算方法にあるといえます。POPの場合、当然ながら像面の後のビームプロファイルとなります。POPの結果は、常に指定した面の屈折後であるということに注意してください。一方、シングルモードカップリングでは、「ホイヘンス積分を使用」にチェックを入れると基本的にホイヘンスPSFを使用します。ホイヘンス積分は、ほとんどの場合、FFT PSFよりも精度が高いため、ここではホイヘンス積分を使用することを前提としています。したがって、POPとシングルモードファイバーの方法で計算された結合効率の違いは、POPとホイヘンスPSFで計算されたスポットプロファイルの違いと基本的に同じです。重要なことは2つの方法が異なるアルゴリズムに基づいているので、計算結果が異なることはおかしなことではないということです。一方の前提条件から離れた場合には、結果が大きく異なる可能性があります。

 

どちらの方法にも前提条件と限界があります。ホイヘンスPSFはシステム内の光線を追跡してビームの振幅を計算し、最終段階での回折のみを考慮します。それに対して、POPは最初から最後まで回折を完全に考慮してビームを伝播させます。したがって、ほとんどの場合、POPのほうが信頼できると言えます。しかし、POPは結果が正しいことを確認するために、さらに注意を払う必要があることに気をつけてください。面ごとのシステムチェックが常に必要です。

 

ただしPOPにはアルゴリズムの前提条件があり、その詳細はヘルプファイルに記載されています。システムが前提条件をうまく満たせない場合は、ホイヘンスを使用するように変更を推奨します。典型的なケースとしては、発散がF/1よりも早いレーザー光源を持っている場合です。実際サイドエミッション型のレーザーダイオードは発散が大きいので、ホイヘンスPSFを使用することが推奨されます。また、VCSELの場合は、発散角があまり大きくない可能性があるので、POPで十分です。POPが十分であれば、常により良い選択となるはずです。


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