2020 年 9 月 15 日
1 ツール、 機能及び利便性
1.1 複合レンズ オブジェクトのサポート
OpticsBuilder のすべての機能が複合レンズ オブジェクトをサポート
OpticsBuilder 20.3 は、[複合レンズ] (Compound Lens) オブジェクトを変換し、構築する機能を提供するようになりました。この新機能により、ユーザーが CAD にミラーを導入するときに、新しいオプションを追加することになります。OpticsBuilder はまた、コートされた複合レンズ オブジェクトを含む光学系に対しても全ての機能をサポートするようになりました。複合レンズ オブジェクトにマウント用レンズ エッジを正しく追加する機能とともに、これらのオブジェクトで参照形状を適切に表示するための改善が行われました。なお、複合レンズ オブジェクトでは [標準面] (Standard)、[偶数次非球面] (Even Asphere) / [奇数次非球面] (Odd Asphere)、[バイコーニック] (Biconic) 面がサポートされています。
1.2 光学設計の編集権限
光学部品の形状を CAD のパラメータとして直接修正する権限
光学技術者が OpticStudio で [OpticsBuilder 向け準備] (Prepare for OpticsBuilder) 機能を使うときに、[読み取り専用] (Read-only?) のボックスのチェックを外すことで、OpticsBuilder ユーザーに対して編集権限の付いた状態でファイルを送ることができるようになりました。これにより CAD ユーザーが外装部の設計段階でその必要性や制約のために、光学部品の設計を変更することが出来るようになりました。CAD ユーザーは、光学部品の移動や再配置、ノンシーケンシャル光学特性の変更、CAD プラットフォーム上で利用可能なツールを使用した形状の編集を行うことができます。この機能は、SOLIDWORKS と Creo 両方の CAD プラットフォームで利用できます。SOLIDWORKS 上で新しいノンシーケンシャル用の編集ウィンドウが表示されているところを、図 1.2.a に示します。

図 1.2.a ノンシーケンシャル光学特性編集ウィンドウ
1.3 断面図中の部分光線表示
断面図中に設計内部の光線を表示
光学製品の設計の内部をより正確に見ることができるようになりました。OpticsBuilder は CAD で断面図を表示させるときに、シミュレーションされた光線セットも表示させることができるようになりました。SOLIDWORKS では、断面図に自動的に光線セットが表示されます。Creo では、まず一旦断面図を表示させ、新しい ”Partial Rays” ボタンを選択することで、光線を表示することができます。Creo で断面図への光線表示をアクティブ化しているところを、図 1.3.a で示します。

図 1.3.a 断面図への光線の描画のアクティブ化
2 有用性
2.1 光線のオブジェクト無視機能
OpticStudioと同じ表示にするため改良された光線追跡機能
OpticsBuilder は、OpticStudio の [光線はこのオブジェクトを無視] (Rays Ignore Object) 機能を活用できるようになりました。この設定は、光学部品の [光学特性] (Optical Properties)” の中にあります。この設定は、オリジナルの OpticStudio での設計で設定されたものを引き継ぎます。ユーザーは .ZBD ファイルが読み取り専用ではない場合、この設定を変えることができます。光線はこのオブジェクトを無視機能には [なし] (Never)、[常時] (Always)、[射出時] (On launch) のオプションが存在します。この新しく加わった機能についてのより詳細な情報は、OpticsBuilder のヘルプ ドキュメントを参照してください。光線はこのオブジェクトを無視機能の選択肢について、図 2.1.a で示します。

図 4.1.a 光線はこのオブジェクトを無視
2.2 オブジェクトのネスト
OpticStudio と同様に光線追跡できるよう、ネストされたオブジェクトのサポートの改善
20.3 より前のバージョンでは、ユーザーが別オブジェクトの内部に配置された光学オブジェクトを含むファイルをロードすると、光線追跡時にネストされたオブジェクトを無視し、外側のオブジェクトのみを考慮していました。20.3 では、ネストされたオブジェクトと外側のオブジェクトの両方で光線追跡を行えるようになり、OpticStudio と近い結果を得られるようになりました。
3 パフォーマンスおよび安定性の改善
OpticsBuilder 20.3 には以下の改善が含まれます。
- オプティクス マネージャの分割線が、自動的にプロトタイプの高さに調整されるようになりました。
- OpticStudio に導入された新しい CAD ライブラリをテストできるようになりました。このライブラリは、OpticsBuilder の将来的な速度向上をもたらす見込みです。
- 別の CAD プラットフォーム向けに用意された .ZBD ファイルを読み込もうとすると、警告メッセージがポップアップ表示されるようになりました。
- SOLIDWORKS でのライトウェイト モードを、OpticsBuilder ではシミュレーションを行うため、ユーザーに解除させるようになりました。ライトウェイト モードではシミュレーションを正確に行うために必要なオブジェクト データの全てを得られないためです。
4 バグ修正
OpticsBuilder for SOLIDWORKS 20.3 には以下のバグ修正が含まれます。
- 削除した光線の再光線追跡 – ユーザーがオプティクス マネージャで光線を削除した場合、OpticsBuilder では再度のシミュレーションができませんでした。今後はオプティクス マネージャのメニューより削除した光線について、シミュレーションの再実行ができます。
- 出力 PMP データの整数への変換の廃止 – 出力ファイルを作成した時、PMP データは最も近い整数へと変換されていました。今後このデータは、出力ファイル作成時に整数への変換は行われず、そのまま保存されます。
- 新しく追加した部品の表面に鏡面が設定されていた – 光学製品に追加される新しいCADパーツを作成する際、鏡面は最悪のシナリオを提示することになるため、デフォルトでは鏡面ではなく黒のアルマイト面にするべきです。今後は新しく設定された CAD パーツのデフォルトとして、黒アルマイトを採用します。
OpticsBuilder for Creo 20.3 には以下のバグ修正が含まれます。
- Creo 4 において必要な機械部品を全てエクスポートしていなかった – OpticsBuilder for Creo 4 では .ZBD ファイルを出力する際に、一部の機械部品が変換されていませんでした。OpticsBuilder for Creo 4 では今後ファイルの全ての部品がエクスポートされます。
- Creo がクラッシュする問題 – OpticsBuilder for Creoを使用すると、クラッシュが発生する場合がいくつかありました。これらのクラッシュが発生するためには正確な設定が必要でしたが、修正されました。
- ScatterDataフォルダ内に散乱プロファイルが存在しない場合、警告なしで鏡面が適応される – .ZBD ファイル内の面に散乱プロファイルが適用されていて、その散乱プロファイルが ScatterData フォルダ内に存在しない場合、OpticsBuilder はユーザーに警告することなく自動的に鏡面を適用していました。鏡面の散乱プロファイルは散乱解析の結果としては最悪のケースを示すため、各種の結果ウィンドウに多くのエラーが表示され、ユーザーをさらに混乱させていました。今後は、エラー メッセージが表示され、散布プロファイルが見つからないことを警告し、問題を解決するための手順を取るようユーザーに通知するようになります。