2021年5月25日
1 ツールと機能
1.1 STAR モジュール (サブスクリプションの PROFESSIONAL および PREMIUM エディションのみ、STAR モジュールのライセンスが必要)
OpticStudio で FEA データをネイティブにロード、フィット、分析
新しい STAR モジュールは、構造および熱の有限要素解析 (FEA) データを OpticStudio の設計に読み込み、構造、熱、光学性能 (STOP) の分析を行うことを可能にします。
STAR は OpticStudio に直接統合されており、あらゆる FEA パッケージから FEA データを受け取ることができます。これにより、既存のワークフローに簡単に統合することができ、重要なデザインインサイトを提供します。また、STAR-API を使用して STAR の全機能にアクセスすることができ、OpticStudio と任意の有限要素プラットフォーム間の共通ワークフローを完全に自動化することができます。
STAR モジュールを使用するには、STAR モジュールのライセンスと、サブスクリプションの Professional および Premium のライセンスが必要です。STAR モジュールがユーザー様のワークフローにどのように適合するかについては、Sales@zemax.comまでお問い合わせください。
1.2 ネイティブなノンシーケンシャルモードの体積ホログラム (PROFESSIONAL および PREMIUM エディションのみ)
体積ホログラムがノンシーケンシャルモードにネイティブに対応
OpticStudio 21.2 では、ノンシーケンシャルモードにネイティブな体積ホログラムのサポートが追加されました。これにより、OpticStudio 21.1 のシーケンシャルモード用に追加された機能と同様に、体積ホログラムの完全なノンシーケンシャル シミュレーションが可能になります。体積ホログラムをサポートするオブジェクトは [ホログラム レンズ] (Hologram Lens)、 [ホログラム面] (Hologram Surface)、および [トロイダル ホログラム] (Toroidal Hologram)です。これは、これらのオブジェクトに新しいパラメータを使用することで実現しています。
また、[NSC グループに変換] (Convert to NSC Group) で、[ホログラム1] (Hologram 1)、 [ホログラム2] (Hologram 2)、 [トロイダル ホログラム] (Toroidal Hologram) のシーケンシャル面の変換がサポートされます。
1.3 軸外し回転中心 (すべてのエディション)
空間の任意の点を中心にしたエレメントの回転
シーケンシャル モードにおいてエレメントのティルト / ディセンタ ツールに新しい軸外し回転中心 X/Y/Z 入力が追加され、選択した任意の点を中心にエレメントをティルト / ディセンタすることができるようになりました。軸外し回転中心は、ローカル座標またはグローバル座標で指定できます。これにより、空間内の任意の点を中心とした軸外し回転中心を実現するために、複雑な座標ブレークやピックアップをシステムに手動で追加する必要がなくなりました。
1.4 光路解析 (PREMIUM エディション)
光線追跡データの読み込みと保存がより速くに
光線追跡中に新しいパス解析ファイル (PAF) を生成し、光線光路データを保存することができます。PAF ファイルは、既存の ZRD ファイルよりも迅速に保存し、光路解析ツールにロードできます。
この新しいファイルタイプをサポートするために、光線追跡ツールとパス解析ツールのZOS-API の更新とともに、新しい最適化オペランド 「NPAF」 と ZPL キーワード 「NSTR2」 が追加されました。
1.5 ノンシーケンシャル Q タイプ非球面オブジェクト (PROFESSIONAL および PREMIUM エディションのみ)
新しいノンシーケンシャル モード オブジェクト
Q タイプ非球面オブジェクトは、Q タイプ非球面のシーケンシャル面と同様の方法でQ タイプ非球面をモデル化します。直交項を持つこの非球面は、その設計と製造の両方を単純化する方法で数学的に記述されています。
また、[NSC グループに変換] (Convert to NSC Group) ツールに Q タイプ非球面シーケンシャル面のサポートが追加されました。
1.6 グレーティング DLL の新機能 (サブスクリプションのPREMIUM エディションのみ)
ブレーズド グレーティングの新しいコーティング モード (srg_blaze_RCWA.dll) と新しいDLL (srg_trapezoid2_RCWA.dll)
ブレーズド グレーティングに新しいパラメータ Coat Mode が追加されました。0であれば、DLLは以前と同じように動作し、1であれば、コーティング層が異なって考慮されます。
新しいDLL、srg_trapezoid2_RCWA.dllが追加されました。このDLLは、異なるパラメータ定義で台形グレーティングを定義します。
srg_blaze_RCWA, srg_gridwirepolarizer_RCWA, srg_step_RCWA, srg_trapezoid_RCWA に、ナノインプリント リソグラフィで製造されたグレーティングや、共振導波路型グレーティングを検討する際に有効なパラメータ NIL が追加されました。
グレーティング DLL の補間による光線追跡の速度が15%向上しました。
詳細については、ナレッジベースの記事 「表面レリーフ型グレーティングの回折効率を RCWA 法でシミュレーションする」 を参照してください。
1.7 改良されたグレーティングの可視化ツール (サブスクリプションのPREMIUM エディションのみ)
機能の追加と UI の改善
DLL の選択を UI から変更できるようになり、読み込んだ DLL のバージョンも表示されるようになりました。また、極角や方位角を設定し、効率データをチャートにプロットできるようになりました。また、このツールのデータをエクスポートすることもできます。
1.8 ブラックボックス レンズの反転 (すべてのエディション)
ブラックボックスレンズ中のエレメントの反転ツール
Zemax のブラックボックスレンズは、エレメントの反転ツールを使って正しく反転させることができるようになりました。
1.9 透過率プロット (PROFESSIONAL および PREMIUM エディションのみ)
新しいユーザー解析による、透過率対波長グラフの生成
新たに追加されたユーザー解析により、特定の視野やシステムのコンフィグレーションに応じた波長に対する透過率プロットを生成します。また、データのテキストファイルを保存することもできます。
1.10 面をグリッドサグに変換 (サブスクリプションのPREMIUM エディションのみ)
シーケンシャル面をグリッドサグに変換する新しいユーザー拡張機能
シーケンシャル面をグリッドサグ面に変換する新しいユーザー拡張機能が追加されました。グリッドデータを保存することもできます。
1.11 ZEMAX ライセンスマネージャーのアップデート(すべてのエディション)
新しい STAR モジュールライセンスをサポートするための、ライセンスマネージャーの更新
新しい STAR モジュールライセンスをサポートするために、ライセンスマネージャーが更新されました。Zemax ライセンスマネージャーの [ライセンスの表示] (View License)、[ライセンスの送信] (Send License)、[ライセンスの管理] (Manage Licenses) タブに、新しい [製品] (Product) ドロップダウンが追加されました。これにより、特定のZemax 製品に関連するライセンスのみを表示することができます。また、新しい STAR モジュールライセンスにも対応しました。
1.12 OPTICSBUILDER 向けの準備のアップデート (すべてのエディション)
光線数の選択及び準備プロセスの停止
準備プロセスで使用する解析光線の数を選択するための新しいオプションが [OpticsBuilder 向けの準備] (Prepare for OpticsBuilder) に追加されました。また、準備プロセスを停止する停止ボタンも追加されました。
2 新機能の試行
2.1 強化された広角レイ エイミング (PROFESSIONAL および PREMIUM エディションのみ)
この新機能の試行の新機能と改善点レイ エイミング
この新機能の試行は、[アパチャー タイプ] (Aperture Type) が [絞り面半径による定義]
(Float by Stop Size) の場合にのみ有効です。また、システムは角度の視野タイプを持つ無限共役系か、物体高の視野タイプを持つ有限共役系のいずれかでなければなりません。
新機能の試行を有効にすると、[システム エクスプローラ] (System Explorer) の [レイ エイミング] (Ray Aiming) セクションで3つの新しいオプションが利用可能になります。
·Use Advanced Convergence – Z軸周りにかなりの回転がある場合の処理を改善します。
·Use Fallback Search During Cache Setup – 軸外しまたは非球面システムのレイ エイミングを改善します。問題がない限り、このオプションを選択することは推奨しません。
·Number of Steps – キャッシュ設定時のステップ数を設定します。一般的に値が大きいほど安定しますが、速度は遅くなります。特に問題がない限り、デフォルト値を使用することを推奨します。
これらのオプションがデフォルト値で設定されている場合は、OpticStudio 21.1 でこの機能の実験を行った場合と同じ結果になります。
[強化された広角レイ エイミング] (Enhanced Ray Aiming) を有効にすると、新しい X/Y/Z エイムが [レンズ データ エディタ] (Lens Data Editor) で利用可能になります。有限共役系の場合は、光線が物体高から始まり、エイムの方向に向けられるように、方向余弦が選択されます。無限共役系の場合、光線はエイムから始まり、ユーザーが定義した方向に向けられます。エイムの値が 0 の場合は無視されます。
3 プログラミング
3.1 ZOS-API: STAR モジュール
STARのすべての機能がAPIで利用可能
STARモジュールのすべての機能がAPIで利用でき、複雑なワークフローを完全に自動化することができます。
3.2 ZOS-API: 光路解析
光路解析の新機能
ZOS-APIでは、PAFファイルの保存や読み込みなど、光路解析の新機能に対応しています。
4 ライブラリ及びカタログ
4.1 カタログの更新 (すべてのエディション)
LZOS, OptoSigma, 及びBernhard Halle の最新カタログ
[材質カタログ] (Materials Catalog)
·LZOS カタログには22個の新しい材質が含まれており、カタログ内のすべての材質のパラメータが更新されています。
[原器リスト] (Test Plate Lists)
·OpticStudioにOptoSigma原器カタログが追加されました。
[レンズ カタログ] (Lens Catalogs)
·Bernhard Halle のカタログでは、レンズのタイトルが更新され、既存のレンズのバグが修正されています。
5 パフォーマンスおよび安定性の改善
·[レイ エイミング] (Ray Aiming) – レイ エイミング アルゴリズムのマイナーな機能が強化されました。
·[透過] (Transmission) – 透過解析レポートの面で[この面を無視] (Ignore This Surface) がチェックされている場合の処理が改善されました。
·[分布 5] (Gradient 5) 及び [分布 9] (Gradient 9) – 分布 5 及び分布 9 面を含むシステムにおいて、光線追跡がより速く、より信頼性の高いものになりました。
·[拡張多項式] (Extended Polynomial) – 拡張多項式面が [NSC グループに変換] (Convert to NSC Group) ツールに追加されました。
·[OpticsBuilder 向け準備] (Prepare for OpticsBuilder) – ダミー面が正しく空オブジェクトに変換されるようになりました。以前は、ダミー面が[環] (Annulus) に変換され、光線がカットされることがありました。
·[パート デザイナー] (Part Designer) – ノンシーケンシャル モードのパート デザイナー ツールで最適化する際の安定性が改善されました。
6 バグの修正
·RCWA DLLs – このDLLが2021 年 1 月 21 日以降に動作することを妨げる制限が削除されました。
·us_zernike+msf.dll – このDLL が 2021 年 1 月 21 日以降に動作することを妨げる制限が削除されました。
·RCWA DLL srg_user_defined_RCWA.dll – ユーザー定義のグレティンーグの屈折率にゼロ以外の虚数部が含まれている場合でも、DLLが正しく動作するようになりました。これまでは、この問題が発生すると DLL が動作しなくなっていました。
·RCWA DLLs – ユーザー定義のコーティング ファイルにゼロ以外の虚数部が与えられた場合、DLLが正しく機能するようになりました。これまでは、この問題が発生するとDLLが動作しなくなっていました。
·[RCWA可視化ツール] (RCWA Visualization Tool) – グレーティングの形状を描くとき、テーブルでグレーティングのデータを編集するとき、チャートで効率をプロットするときに、いくつかの問題が修正されました。
·Python のテンプレート – Python インタラクティブ拡張機能のテンプレートが更新され、接続を初期化する際のエラーがより適切に処理されるようになりました。これまではピリオドがないとエラーが表示されずにコードがクラッシュしていました。
·[散乱] (Scattering) - ノンシーケンシャル モードで散乱面のプロパティを選択する際の安定性を改善しました。これまでは、新しい散乱モデルが散乱カタログ フォルダに追加されると、正しくないファイルが読み込まれることがありました。